2007年8月9日、経皮吸収型エストロゲン製剤の「ル・エストロジェル0.06%」(一般名:エストラジオール)が発売された。同薬は外用ゲル剤であり、エストロゲン製剤としては日本で初めての塗布剤である。適応は「更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flushおよび発汗)」である。なお同薬は、医師による処方が必要な「処方せん医薬品」ではあるが、現時点では薬価基準には収載されていないため保険医療では使用できず、自費診療でのみ使用可能である。

 更年期障害は、卵巣機能低下によるエストロゲン不足により、閉経前後の女性に見られる心身の様々な不調症状である。具体的には、ほてりやのぼせなどの症状が多く、その改善には、エストロゲン製剤を使用したエストロゲン補充療法(HRT)が行われる。HRTで使用されるエストロゲン製剤として、わが国ではこれまで経口剤、注射剤、貼付剤が使用されてきたが、ル・エストロジェルの発売により、これにゲル剤が新たに追加されることになる。

 ル・エストロジェルは、経皮吸収剤であるため肝初回通過効果を受けず、安定した血中濃度が得られるというメリットがある。また、1日1回腕に塗布するだけなので簡便であること、塗布剤であるため肌の上に残らず目立たないことも利点である。一定量のゲルが取り出せるプッシュ式ボトルとして、30g(14日分)と80g(42日分)の2製品が発売される。

 エストラジオールの外用ゲル剤は、世界的には古くから使用されている。チューブタイプは1974年にフランスで発売、その後、95年にポンプ式が承認され、現在までに世界101の国と地域で使用されている。今回、保険適用外という制限はあるが、日本でも、使い勝手のよい外用ゲル製剤が登場することで、HRTの普及がさらに進むものと考えられる。

 ただし同薬では、承認時までに59.4%に副作用が認められている。主な副作用は、膣分泌物(34.5%)、乳房不快感(23.1%)、性器出血(8.3%)、骨盤痛(5.7%)、投与部位そう痒感(5.7%)などである。また、国内の臨床試験では認められていないが、海外の臨床試験などでは、重大な副作用としてアナフィラキシー様症状、静脈血栓塞栓症、血栓性静脈炎も報告されているので、十分に注意したい。