「オメプラール錠10、同20」の添付文書(2007年5月改訂・第13版)から抜粋。下線部が改訂箇所。

 2007年5月24日、プロトンポンプ阻害薬の「オメプラ―ル錠10」「オメプラゾン錠10mg」(一般名:オメプラゾ―ル)に、非びらん性胃食道逆流症NERD:non-erosive reflux disease)の適応が認められた。用法・用量は、「通常、成人にはオメプラゾールとして1日1回10mgを経口投与する。通常、4週間までの投与とする」とされている。

 NERDは、胸やけや呑酸などの胃酸逆流症状はあるが、内視鏡検査で食道にびらんや潰瘍が見当たらないものをいう。食道・噴門部逆流防止機構の障害によって、食道に胃酸を主とした胃内容物が逆流することで引き起こされる病態を「胃食道逆流症」(GERD:gastro-esophageal reflux disease)というが、NERDはその一病態である。ちなみに、GERDのうち、内視鏡所見があるものは「逆流性食道炎」と呼ばれる。

 NERDは従来、逆流性食道炎の軽症型と考えられていたが、最近では、逆流性食道炎とは違って、食道裂孔ヘルニアを伴う例が少なく、若年者、女性、やせている人に多いことが判明し、NERDと逆流性食道炎は、別の疾患であるという認識が広まってきている。また、GERDの患者数は世界的に増加傾向があるとされるが、日本人では、欧米人よりもGERD全体に対するNERD患者数の割合が高いことが分かってきている。その原因は明らかではないが、日本人の胃酸分泌能が欧米人よりも低いからではないかと推測されている。

 そうした意味で、わが国でのNERDに対する薬物療法のニーズは、今後も高まっていくものと考えられる。なお、NERDに対する適応は、同じプロトンポンプ阻害薬のランソプラゾール製剤「タケプロンカプセル15」「タケプロンOD錠15」が、既に2006年6月に追加適応として取得しており、今回のオメプラゾールのNERDに対する適応追加は2製剤目となる。

 なお、NERDに対して使用する場合の注意として、添付文書には、(1)投与開始2週後を目安として効果を確認し、症状の改善傾向が認められない場合には、酸逆流以外の原因が考えられるため他の適切な治療への変更を考慮すること、(2)問診により、胸やけ、呑酸等の酸逆流症状が繰り返しみられること(1週間あたり2日以上)を確認のうえ投与すること、(3)本薬の投与が胃癌、食道癌などの悪性腫瘍および消化器疾患による症状を隠蔽することがあるので、内視鏡検査等によりこれらの疾患でないことを確認すること――といった点が記載されている。また、オメプラゾ−ル製剤のうち、NERDに適応があるのは10mg錠のみであり、20mg錠には適応がないこと、現時点ではオメプラールとオメプラゾンのみにNERDへの適応があり、オメプラゾ−ル製剤の後発品にはこの適応が認められていないことにも注意したい。