2007年6月11日に、遺伝子組換え糖原病II型治療薬のアルグルコシダーゼ アルファ(商品名:マイオザイム点滴静注用50mg)が発売された。同薬は、4月18日に製造承認を取得し、6月8日に薬価収載されている。

 糖原病II型は、難病(特定疾患)の遺伝病「ライソゾーム病」の一種である。糖原病II型患者は、先天的な遺伝子異常により、酸性αグルコシダーゼ(GAA)が欠損している。GAAは、グリコーゲン(=糖原)をグルコースに分解する酵素であり、これが欠損することで、細胞内にグリコーゲンが過剰蓄積し、重度の筋機能障害や心臓肥大による心不全や呼吸不全が起こる。発見者の名前から「ポンペ病」と呼ばれることもある。

 糖原病の日本での患者数は、30人ほどと推定されている。発症時期と臨床経過から、乳児型、小児型、成人型に分類されるが、重症度が最も高いのは、生後12カ月以内に症状・兆候が発現し、急激に症状が悪化する「乳児型」である。従来は、糖原病II型に対する有効な治療法はなく、対症療法のみが行なわれていた。

 今回、承認・発売されたアルグルコシダーゼ アルファは、遺伝子組換え技術で作られたヒト型GAAである。欠損したGAAを補うことで、細胞内に蓄積したグリコーゲンを分解し、ライソゾームの機能を回復させる。凍結乾燥製剤であり、体重1kgあたり20mgを隔週に1回、点滴静脈内投与する。

 同薬は、既に、欧州連合(EU)では2006年3月に、米国では同年4月に承認されている。日本では、患者団体の強い要望もあり、2006年2月には希少疾病用医薬品に指定され、2006年4月の未承認薬使用問題検討会議では「外国臨床試験成績に基づき製造承認申請することが妥当」と判断されるなどして、今回の承認・販売に至っている。

 今回の特効薬の登場により、糖原病II型の治療は大きく進歩し、患者にとっては大きな福音となるものと考えられる。ただし、本薬の投与との関連性が否定できない有害事象として「アナフィラキシー反応」が知られており、具体的には、投与後に蕁麻疹、発疹、潮紅、発熱、頻脈、咳嗽、酸素飽和度低下、頻呼吸などの症状が発現する可能性がある。これらの症状が発現した場合には、投与速度の減速または投与の一時中止、適切な薬剤の投与(ステロイド薬、抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬、抗炎症薬など)、緊急処置などを行なう必要がある。