「マイスリー錠」の添付文書(2007年6月改訂・第13版)より抜粋

 2007年6月1日付の厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知により、睡眠薬ゾピクロン(商品名:アモバンほか)、酒石酸ゾルピデム(商品名:マイスリー)、トリアゾラム(商品名:ハルシオンほか)の「使用上の注意」が改訂され、警告欄などに睡眠中の異常行動に関する注意喚起が追記された。

 具体的には、ゾピクロンとゾルピデムの2剤では、警告欄を新設して「もうろう状態睡眠随伴症状夢遊症状等)があらわれることがある」と記載したほか、「重大な副作用」にもこれらの症状を記載した。またトリアゾラムは、既に警告欄に「もうろう状態があらわれることがある」との記載があったが、これに「睡眠随伴症状(夢遊症状等)」を追記した。

 今回、睡眠薬で、これらの大幅な添付文書改訂が行われたのは、2007年3月14日、米食品医薬品局(FDA)が同様の添付文書改訂に踏み切ったことがきっかけになっている(関連記事FDAのリリース)。

 FDAは、睡眠薬を服用した後に、十分に覚醒しないままに自動車の運転や食事などをし、その出来事を記憶していないという事例の報告が集積したことを重視し、同様の異常行動が懸念される13種類の睡眠薬(日本で添付文書改訂が行われた3薬剤を含む)の添付文書を改訂した。加えて、これら睡眠薬を販売している製薬会社に、患者向けに使用方法などを解説した「Patient Medication Guides」(患者用医薬品ガイド)の作成を依頼。さらに、この副作用の発現頻度を調査するために臨床試験を実施するよう、各製薬会社に要請した。

 今回の添付文書改訂を受け、われわれ医療関係者は、改めて「睡眠薬は、発現頻度は異なるものの、常に精神症状や意識障害が起こる危険性がある」という事実を確認するべきであろう。また今回の改訂で各薬剤の添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」に追記されたように、こうした異常行動は用量依存的に現れるので、常に睡眠薬は少量から投与を開始するとともに、増量する際も1日最大投与量を超えないように注意すべきである。さらに、投与中のこれらの副作用について患者にも説明し、一度に大量に服用しないよう、しっかりと理解させる必要があるだろう。