2007年4月18日、持続型赤血球造血刺激因子製剤のダルベポエチンアルファ(商品名:ネスプ静注用10μgシリンジ、15μgシリンジ、20μgシリンジ、30μgシリンジ、40μgシリンジ、60μgシリンジ、120μgシリンジ)が製造承認を取得した。薬価収載後に発売される見込みである。適応は「透析施行中の腎性貧血」である。

 腎性貧血とは、腎尿細管周囲の間質細胞におけるエリスロポエチンEPO)の産生低下により、造血機能が低下した状態である。腎機能低下の進行に伴って出現し、透析療法を行っている腎不全患者はもちろん、保存期の腎不全患者にも発症する。腎不全合併症として最も頻度が高いものの一つである。

 腎性貧血の治療では、かつては頻回の輸血が行われていたが、ヘモクロマトーシスやウイルス性肝炎を発症するリスクがあることが問題だった。また蛋白同化ホルモン製剤も使用されたが、効果は高くなく、副作用発現で使用が中止される例も多かった。そうした中、1990年に登場し、腎性貧血の治療成績を飛躍的に向上させたのが、遺伝子組換え技術で創製されたEPO製剤である。EPO製剤のエポエチンアルファ(商品名:エスポー)やエポエチンベータ(商品名:エポジン)の登場により、輸血を必要とする患者が激減するとともに、貧血に伴う諸症状を改善することで患者のADLやQOLの向上に大きく貢献した。

 このEPO製剤のアミノ酸配列の一部を改変し、新たな糖鎖を付加させることで、血中半減期を延長し、持続的な赤血球増加作用を実現したのが、今回承認されたダルベポエチンアルファである。持続性が高いことにより、従来のEPO製剤に比べて投与頻度を減らすことが可能となり、患者の負担を軽減することができる。また注射回数の減少は、医療事故防止の観点からも望ましいことといえる。

 2006年12月現在、ダルベポエチンアルファは、米国、欧州連合(EU)をはじめとして世界40カ国以上で承認され、臨床使用されている。また海外では、日本では認められていない「非骨髄性悪性腫瘍患者の化学療法施行に伴う貧血治療薬」としても使用されており、広く輸血の代替・補助療法として使われるようになっている。

 このようにダルベポエチンアルファは、患者の負担軽減が図れる薬剤として、今後、従来のEPO製剤に置き換わる形で広く使用されていくものと予想される。ただし現状では、既存のEPO製剤とは異なり、透析導入前の腎性貧血や、自己血貯血、未熟児貧血などには適応を有してないことに注意したい。なお、国内の臨床試験では35.0%に副作用が認められている。重大な副作用は、脳梗塞、脳出血、肝機能障害・黄疸、高血圧性脳症、ショック・アナフィラキシー様症状、赤芽球癆、心筋梗塞・肺塞栓であり、そのほか血圧上昇、シャント血栓・閉塞、頭痛、倦怠感といった副作用の頻度が高かったことが報告されている。