2007年4月18日、過活動膀胱治療薬イミダフェナシン(商品名:ウリトス錠0.1mg、ステーブラ錠0.1mg)が製造承認を取得した。薬価収載後に発売される見込みである。過活動膀胱治療薬としては、2006年6月に発売されたコハク酸ソリフェナシン(商品名:ベシケア)、酒石酸トルテロジン(商品名:デトルシトール)に次いで3番目の薬剤である。また国内で開発された過活動膀胱治療薬としては、ソリフェナシンに続き2番目の薬剤となる。

 過活動膀胱OAB)とは、2002年に国際禁制学会(ICS:International Continence Society)において、新たに「尿意切迫感を有し、通常これに頻尿および夜間頻尿を伴い、切迫性尿失禁は伴う場合もあれば伴わないこともある状態」と定義された概念の症候群である。具体的には、急に強い尿意を感じて尿が漏れてしまったり、排尿回数が通常より多いといった「蓄尿障害」の症状を示すものである。現在、日本排尿機能学会の疫学調査によると、40歳以上の男女の12.4%、約810万人が過活動膀胱の潜在患者であると推定されている。

 従来、蓄尿障害に対する薬物治療としては、膀胱平滑筋の収縮作用を持つ抗コリン薬(塩酸オキシブチニン〔商品名:ポラキスほか〕、塩酸プロピベリン〔商品名:バップフォーほか〕など)が使用されている。しかし、これら薬剤は、ムスカリン性アセチルコリン受容体に比較的広く拮抗作用を示すため、口渇や便秘などの副作用が高頻度に発現し、治療上障害となる場合があった。これに対し過活動膀胱治療薬は、従来の抗コリン薬よりも膀胱選択性が高められており、これらの副作用が出にくいと考えられている。

 今回承認されたイミダフェナシンも、唾液腺分泌抑制作用に比べ、膀胱の収縮抑制作用が相対的に強いことが報告されている。薬理学的に見ると、同薬は、ムスカリン受容体のサブタイプM3とM1に選択的に高い親和性を有している。ムスカリン受容体には、M1〜M5までのサブタイプが確認されており、このうち膀胱平滑筋の収縮に直接関与するのがM3受容体と考えられている。またM1受容体は、膀胱平滑筋を直接収縮する作用はないが、コリン作動性神経終末でアセチルコリンを放出することで平滑筋の弛緩に拮抗し、間接的に膀胱収縮作用を示すと考えられている。

 イミダフェナシンは今後、ほかの2薬剤とともに、過活動膀胱治療の中心的薬剤として使用されていくものと予想される。しかし、ソリフェナシンやトルテロジンなどと同様に、イミダフェナシンでも、抗コリン薬特有の副作用が皆無ではないことを十分留意しておく必要がある。また使用に当たっては、事前に過活動膀胱類似の症状を呈する疾患(尿路感染症、尿路結石、膀胱癌や前立腺癌などの下部尿路における新生物など)を尿検査などで除外する。前立腺肥大症など下部尿路閉塞疾患を合併している患者には、それに対する治療(α1遮断薬の投与など)を優先させなければならない点にも留意したい。

【訂正】5/31に以下の点を訂正いたしました。
・1段落目に「先発の2薬剤は海外からの導入品だが、イミダフェナシンは国内で開発された薬剤である」とありましたが、先発の2薬剤のうちソリフェナシンは国内で開発された薬剤でした。この部分を「国内で開発された過活動膀胱治療薬としては、ソリフェナシンに続き2番目の薬剤となる」と訂正いたします。