2007年4月18日、抗悪性腫瘍薬のベバシズマブ(商品名:アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL)が製造承認を取得した。近く薬価収載され、発売される見込みである。今回承認された適応は「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」であり、既存のフッ化ピリミジン系薬剤など、ほかの抗悪性腫瘍薬と併用することとされている。

 ベバシズマブは、世界初のヒトの血管内皮増殖因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)に対するヒト化モノクローナル抗体である。VEGFは、血管内皮細胞の細胞分裂を促進したり、血管透過性の亢進に関与するサイトカインで、正常な血管新生にも不可欠な調節因子であるが、一方で、種々の癌細胞でも発現亢進が認められている。癌細胞内では、VEGFが血管新生を促すことで栄養や酸素の供給を高め、癌細胞の増殖や転移に関与しているものと考えられている。ベバシズマブは、このVEGFと特異的に結合し、その生物活性を阻害することで抗癌作用を示す薬剤であり、この作用から「血管新生阻害薬」とも称されている。

 ベバシズマブは、2004年2月に米国、2005年1月に欧州連合(EU)で承認されて以降、2006年7月時点で世界88カ国で承認されている。日本では、2005年7月に厚生労働省の未承認薬使用問題検討会議で「早期申請」が要請され、これを受ける形で2006年4月、国内での第I相臨床試験、海外での第II相および第III相臨床試験に基づいて承認申請が行われていた。こうした経緯から、国内での治験症例が少ないため、発売後は全例調査(2500例を目標に18カ月を予定)を行うことが義務づけられ、その完了までは、使用できる医療機関が限定されることになった。

 なお、ベバシズマブの海外での臨床試験では、今回承認された直腸・結腸癌以外に、肺癌、乳癌、結腸癌術後補助療法などにおいても有用性が認められており、将来的には日本でも適応が拡大されていくものと予想される。

 ベバシズマブは、新規性の高い抗癌剤でもあるため、使用に当たっては副作用発現に十分な注意が必要である。添付文書では、重大な副作用として、(1)ショック、アナフィラキシー様症状、(2)消化管穿孔、(3)創傷治癒遅延、(4)出血、(5)血栓塞栓症、(6)高血圧性脳症、高血圧性クリーゼ、(7)可逆性後白質脳症症候群、(8)ネフローゼ症候群、(9)好中球減少症、(10)うっ血性心不全――が記載されている。また、本薬に併用する抗癌剤の副作用についても十分に把握し、併せて留意する必要がある。