2007年1月26日、成長ホルモン受容体拮抗薬ペグビソマント(商品名:ソマバート皮下注用10mg、同15mg、同20mg)が製造承認を取得した。適応は「先端巨大症(外科処置、他剤による治療で効果が不十分な場合又は施行が困難な場合)におけるIGF-Iソマトメジン-C)分泌過剰状態及び諸症状の改善」である。3月16日に薬価収載され、近く発売される見込みである。

 先端巨大症は、下垂体腫瘍など何らかの原因で成長ホルモンGH)分泌が過剰となり、それによりIGF-Iなどのホルモン分泌や糖、脂質、タンパク質代謝に異常を来す疾患である。具体的な症状としては、顔貌の変化(鼻・口唇の肥大など)や発汗、関節痛、頭痛、視野障害などが発現し、糖尿病、高血圧、心血管疾患、睡眠中無呼吸などを合併することもある。発症率は毎年100万人当たり4〜6人と推定され、40〜50歳代に発見・診断されることが多く、男女差や人種差は認められない。

 先端巨大症の最終治療目的は、成長ホルモンの過剰分泌の正常化を図ることであり、そのために、原因となっている下垂体腺腫の摘出手術などが行われる。これら外科手術の補助的な処置として、薬物療法や放射線療法などが行われているのが現状である。

 薬物治療としては、まずドパミン作動薬であるメシル酸ブロモクリプチン(商品名:パーロデルほか)が使用され、効果不十分な場合には持続性ソマトスタチンアナログ製剤である酢酸オクトレオチド(商品名:サンドスタチンほか)が使用されるのが一般的である。これらはいずれも、成長ホルモンの産生を抑制する薬剤である。

 これに対し、今回承認されたペグビソマントは、成長ホルモン受容体に直接作用し、過剰に分泌されている成長ホルモンの作用を拮抗阻害する新しいタイプの薬剤である。成長ホルモン受容体への拮抗作用により、IGF-I分泌のシグナル伝達が抑制され、血中IGF-Iが正常化する。このため本薬では、簡便に測定できる「血中IGF-I濃度検査」を利用して、治療効果を直接的に判定できるのが特徴である。

 ペグビソマントは、1日1回就寝前に皮下投与する薬剤であり、国内外の長期臨床試験結果では、80%以上の先端巨大症患者の血中IGF-I濃度を正常範囲内に低減させ、関節肥大などの臨床症状も改善することが確認されている。ペグビソマントは2003年に米国で承認されて以来、現在までに欧米27カ国で承認されている。主な副作用としては、注射部位反応、下痢、吐き気、痛みが報告されている。また投与開始の最初の6カ月間は、肝機能異常について十分に留意することが求められている。