2007年1月26日、非ステロイド性消炎鎮痛薬のセレコキシブ(商品名:セレコックス錠100mg、錠200mg)が製造承認を取得した。本薬は、NSAIDsに分類されるが、他薬に比べてCOX-2選択性が高いことから「COX-2選択的阻害薬」と称されることもある。「関節リウマチ、変形性関節症の消炎・鎮痛」が適応となっている。

 NSAIDsは、アラキドン酸カスケードにおいて、シクロオキシゲナーゼCOX)を阻害し、プロスタグランジン(PG)やトロンボキサンA2(TXA2)を抑制することで、鎮痛や抗炎症などの薬理作用を発揮する。近年、このCOXに、「COX-1」と「COX-2」という2つのアイソザイムが存在することが判明した。COX-1は、細胞に恒常的に存在し、胃粘膜保護、腎機能維持、血小板凝集に関連するPGを産生し、主に生体を守る機能を有している。これに対してCOX-2は、炎症部位において各種サイトカインなどの刺激によって誘導され、主に炎症や疼痛に関与するPGを産生する。このことから、抗炎症作用を目的としてNSAIDs使用する場合には、COX-2のみを選択性に阻害する薬剤が理想的と考えられ、実際、COX-2選択性が高い薬剤では、胃腸障害の副作用(COX-1阻害が原因と考えられる)が発現しにくいことが明らかになっている。

 今回承認となったセレコキシブは、選択的なCOX-2阻害を目標に開発されたNSAIDs(COX-2選択的阻害薬)であり、類薬と共に「コキシブ系薬剤」とも呼ばれている。臨床試験では、従来のNSAIDsに比べて胃腸障害を明らかに減少させることが確認されており、1999年の米国での発売を皮切りに、現在までに世界100カ国以上で承認されている(海外での商品名は「Celebrex」または「Celebra」)。なお、セレコキシブは、コキシブ系薬剤として、日本で初めて承認された薬剤である。

 ただし、コキシブ系薬剤には、この数年、臨床的に大きな問題が持ち上がっている。海外の臨床試験において、コキシブ系薬剤の一つであるロフェコキシブ(日本未承認、米国での商品名:Vioxx)投与群で、心筋梗塞などの血栓・心血管系合併症の発生リスクの上昇が指摘されたからである(その後、ロフェコキシブは2004年に自主回収が行われた)。こうした心血管イベントのリスク上昇が、COX-2選択的阻害薬に共通したものであるかどうかは、まだ不明な部分も多いが、セレコキシブについては、心血管系合併症との関連性が低いことを示唆する研究結果も報告されている。1)〜3)

 今後、セレコキシブは、その副作用の少なさから、日本でも、関節リウマチなど長期間のNSAIDs服用が必要な患者を中心に、広く使用されていくものと考えられる。ただし使用に当たっては、心血管系の副作用の可能性を十分に考慮し、服薬中の患者個々の状態をよく観察する必要がある。また、国内外の臨床試験結果の報告など、関連した最新情報の収集に努める必要があるだろう。

〔参考文献〕
1)David J Graham et al. The Lancet. 2005;365:475-481
2)Daniel H. Solomon et al. Circulation. 2004;109:2068-2073
3)White WB et al. The American Journal of Cardiology. 2003;92:411-418