「リレンザ」の添付文書(2007年1月改訂・第10版)より。

 2007年1月26日、抗インフルエンザウイルス薬ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)に、インフルエンザの「予防」に関する適応が追加された。日本では、既に2004年7月にリン酸オセルタミビルカプセル(商品名:タミフルカプセル75)で予防投与が認められており、今回、外用剤のリレンザにも同様の適応が認められたことになる。

 リレンザは、A型およびB型インフルエンザウイルス感染症の治療薬として、日本では2000年12月に発売され、2006年2月には小児への適応も承認されている。インフルエンザウイルスの表面に局在しウイルスの宿主細胞からの遊離に関与するノイラミニダ−ゼを特異的に阻害し、ウイルスの増殖を抑制する。薬剤本体はブリスター状の外用剤であり、これを専用の吸入器(ディスクヘラ−)を使って吸入する。薬剤が直接気道に作用するため全身への影響が少なく、耐性も生じにくいことが特徴とされ、現在では、世界60カ国以上で承認されている。

 今回認められたリレンザの予防投与では、その対象が「原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族または共同生活者である次の者:(1)高齢者(65歳以上)、(2)慢性心疾患患者、(3)代謝性疾患患者(糖尿病等)、(4)腎機能障害患者」と定められている。

 この予防投与の対象者は、タミフルとほぼ同じであるが、タミフルでは認められていた「慢性呼吸器疾患」がリレンザでは除外されている。これは、リレンザが吸入剤であるためであり、実際、海外の臨床試験で吸入により気管支攣縮が認められた喘息患者が報告されている(リレンザ添付文書「重要な基本的注意」)。逆に、タミフルは腎排泄型の薬剤であるため腎機能障害患者では用量調節が必要であり、添付文書にもその旨の注意書きがあるが、リレンザではそうした記載はなされていない。ちなみにリレンザの添付文書では、腎機能障害患者への投与に関して、「海外では投与量の調整を行う必要はないとされているが、国内において腎機能障害患者を対象とした試験は行われていない。なお、透析を必要とするような腎機能障害患者における本剤の有効性、安全性および薬物動態は検討されていない」と書かれている。

 用法と用量は、治療の場合と予防の場合とで異なる。1回投与量は同じ10mg(2ブリスター)であるが、投与回数は1日1回(治療では1日2回)と減り、投与期間は10日間(治療では5日間)に延長されている。1日総投与量を減らし、投与期間を延長するという投与法は、予防投与では治療時(罹患時)に比べてウイルス量が少ないことが根拠となっており、タミフルの予防投与でも同様である。

 ただし、タミフルと同様、リレンザの予防投与も保険給付の対象にはならないので注意が必要である。また、インフルエンザ感染症の予防の基本は、あくまでもワクチン接種であり、薬剤の予防投与は、家族や共同生活者がインフルエンザを発症している場合にのみ使用を検討し得ることにも十分留意したい。