2006年12月5日、ムコ多糖症I型治療薬のラロニダーゼ(商品名:アウドラザイム点滴静注液)が発売された。同薬は、1999年に希少疾病用医薬品に指定されていたものの、患者数の少なさから国内の臨床試験がなかなか進まない状況だったが、その後、患者や専門医からの強い要望で厚生労働省の「未承認薬使用問題検討会議」に取り上げられ、これをきっかけに欧米の臨床試験データを用いた申請が行われ、10月20日に承認されている。

 ムコ多糖症は、難病(特定疾患)の遺伝病「ライソゾーム病」の一種である。ムコ多糖は、全身の結合織、特に関節、肝臓、脾臓、骨、皮膚などに多く存在し、細胞をつなぎ合わせる役目を担う成分であるが、ムコ多糖症では、このムコ多糖を分解する酵素が先天的に欠損し、体内に蓄積されることで様々な障害が引き起こされる。臨床症状としては、肝脾腫、心肥大、骨の変形、難聴、角膜混濁、知的障害、皮膚の肥厚などが知られている。ムコ多糖症は欠損酵素の違いから、さらにI型からVII型(V型は欠番)の6疾患に分類されている。今回、ラロニダーゼが適応を取得した「ムコ多糖症I型」は、国内の患者数は20人程度と推定されている。

 ムコ多糖症I型の治療は、これまで、リスクを伴う造血幹細胞移植を除くと、対症療法しかない状況だったが、理論的には、患者に欠損しているライソゾーム内の加水分解酵素「α-L-イズロニダーゼ」を補う酵素補充療法が有効と考えられる。そこで開発されたのが、このα-L-イズロニダーゼの遺伝子組換え製剤「ラロニダーゼ」である。週1回の投与により、組織や細胞中に蓄積したグリコサミノグリカン(デルマタン硫酸およびヘパラン硫酸)が分解される仕組みであり、臨床的有用性も確認されている。欧米をはじめ、これまでに世界27カ国で承認されており、今後、わが国でも、ムコ多糖症I型治療の中心的薬剤として使用されていくものと考えられる。

 使用に際しては、最新の添付文書を熟読する必要があるが、特に警告欄にも記載されている「投与当日に発現するアナフィラキシー反応(呼吸障害など)を主体とする重篤なinfusion associated reaction」に細心の注意が必要である。