2006年10月20日、全身麻酔用鎮痛薬レミフェンタニル塩酸塩(商品名:アルチバ静注用)が製造承認を取得した。適応は「全身麻酔の導入及び維持における鎮痛」で、薬価収載後に発売される見込みである。

 現在、全身麻酔による手術では、全身麻酔薬とともに鎮静睡眠薬、鎮痛薬、筋弛緩薬などを組み合わせて行う「バランス麻酔」が主流となっている。そうすることで、各薬剤の投与量を少なくでき、副作用の軽減が期待できるからである。従来、バランス麻酔における鎮痛薬としては、フェンタニルをはじめとしたオピオイド鎮痛薬が使用されていたが、フェンタニルには蓄積性があり、鎮痛作用の調節が難しいことなどが、問題点として指摘されていた。

 今回、承認されたレミフェンタニルは、フェンタニルと同様、選択的μ-オピオイド受容体アゴニストとして作用する鎮痛薬であるが、作用発現までの時間が短く(約1分)、消失も早い(5〜10分)ことが特徴である。このような超短時間作用型鎮痛薬であるため、静脈内への持続投与速度を調節することで、手術の状況に応じた痛みのコントロールが比較的容易にできる。

 また、フェンタニルは肝・腎機能障害のある患者では使用しにくかったが、レミフェンタニルは、血液中および組織内の非特異的なエステラ−ゼによって速やかに代謝されるため、肝・腎機能が低下した患者でも使用できる。さらに、蓄積性が少なく、長時間投与後も呼吸抑制などの遅発性の副作用が起こりにくいと考えられる。これらの点が評価され、2006年4月現在、米国やEU(欧州連合)など69カ国で承認・販売されている。

 レミフェンタニルは今後、バランス麻酔に使用される鎮痛薬として、中心的な位置を占めるようになるものと考えられ、その結果、術中の患者の身体的ストレス軽減に大きく寄与すると期待される。ただし、レミフェンタニルには、添加物としてグリシンが含まれることから、フェンタニルでは認められている「硬膜外投与」および「クモ膜下投与」には使用できないので注意したい。なお、本剤は麻薬製剤であり、管理に十分な配慮が必要であることはいうまでもない。