2006年7月26日、吸入ステロイド喘息治療薬の「パルミコート吸入液」(一般名:ブデソニド)が承認を取得した。ブデソニドは、ドライパウダー状の成人および小児用吸入ステロイド薬(商品名:パルミコート タービュヘイラー)として、2002年から臨床使用されているが、今回承認されたパルミコート吸入液は、ネブライザーを用いて吸入する乳幼児(6カ月以上5歳未満)用の製剤である。

 近年、気管支喘息治療では、小児を含めて吸入ステロイド薬が第一選択薬と位置付けられるようになっている。しかし乳幼児では、吸気力が弱いことなどから、エアゾール製剤やドライパウダー製剤の吸入がうまくできないことが多く、ガイドラインなどで推奨されているにもかかわらず、吸入ステロイド薬による治療が行えないケースがあった。

 ブデソニドの吸入液は、ドライパウダー製剤のような特別な吸入手技を必要とせず、安静呼吸時にも効率的に薬剤吸入できるジェット式ネブライザ−を用いることで吸気力の小さい乳幼児にも使用可能である。ネブライザーは患者が購入する必要があり、その操作方法にも習熟する必要があるが、一般に乳幼児の気管支喘息治療では、ネブライザ−を使って吸入する抗アレルギー薬のクロモグリク酸ナトリウム(商品名:インタール吸入液ほか)が多く使用されており、患児や患児の家族、医師にとっても抵抗感は比較的少ないと考えられる。実際、海外では、1990年にフィンランドで承認されて以来、米国、EU(欧州連合)、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど75カ国(2006年3月現在)で小児喘息治療薬として広く使用されている。
 
 米国の臨床試験結果では、ブデソニド吸入液は、クロモグリク酸吸入液に比べて、同等以上の有効性が認められている。また日本の臨床試験結果でも、ブデソニド吸入液単独投与(1日1〜2回投与)によって、喘息発作の頻度減少、夜間睡眠障害が改善されたと報告されている。副作用は、国内(2試験)と米国(8試験)で実施された臨床試験において、10.6%に認められている。主な症状としては、カンジダ症(2.8%)、精神運動亢進(1.0%)、口腔カンジダ症(0.9%)、咽喉頭疼痛(0.7%)であった。

 ただし、成長期にある小児にステロイド薬を使用すると、特に経口薬では成長抑制が起こることが知られており、吸入薬でもその可能性は否定できない。この点について、ブデソニド吸入液では、臨床試験の結果、クロモグリク酸と比較しても安全性プロファイルに差は認められず、身体計測値でも成長抑制も認めなかったと報告している。もっとも、これらの臨床試験は対象症例数も少なく成長抑制の可能性は完全には否定できないことなどから、添付文書にも次のように記載されている。「全身性ステロイド剤と比較して可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により小児の成長遅延をきたすおそれがある。本剤を長期にわたり投与する場合には、身長等の経過の観察を十分に行うこと」。