禁煙補助薬「ニコチネルTTS」の添付文書(2006年6月改訂・第8版)から。

 2006年4月の診療報酬改訂で「ニコチン依存症管理料」が新設されたことに伴い、6月1日、禁煙補助薬ニコチネルTTS」(ニコチンパッチ製剤)が薬価収載された。薬価は、ニコチネルTTS30(薬剤放出有効面積:30cm2、ニコチン含有量:52.5mg)が1枚401.80円、ニコチネル TTS20(20cm2、35mg)が374.30円、ニコチネルTTS10(10cm2、17.5mg)が355.80円である。

 ニコチネルTTSは、医師の処方せんが必要な医療用医薬品として、1999年5月から日本で発売され、これまでは自由診療のみで使われてきたが、今回、薬価収載されたことで、保険診療での使用が可能になった。ただし、保険適用は「ニコチン依存症管理料の算定に伴う処方」に限定されており、薬剤料の算定は厚生労働省が定めた「施設基準」に合致する医療機関だけにしか許されていない点に注意したい。

 薬価収載に伴う添付文書の変更は、右上に示した「保険給付上の注意」が追記されたのみで、適応や使用上の注意については特段変更されていないが、以下に主な使用上の注意をまとめておく。

 まず用法・用量としては、1日1回1枚を24時間貼付することと定められている。通常は、最初の4週間にTTS30を、次の2週間にTTS20を、最後の 2週間にTTS10を貼付する。10週間を超えた継続使用は避ける。TTS30貼付時の血中ニコチン濃度推移は、1時間に1本タバコを喫煙した時の各喫煙直前濃度推移と同等だったと報告されている。

 副作用として最も多いのは、貼付部位の皮膚症状である。皮膚刺激を避けるために、同じ部位には貼付を続けず、毎回部位を変更するように指導する。貼付部位は、上腕部、腹部、腰背部が推奨されている。貼付部位以外に皮膚症状が出現した場合(アレルギー性接触皮膚炎)や、水疱を形成するなど皮膚症状が強い場合には、使用を中止する。

 また貼付開始後に、不眠や悪夢などの睡眠障害が現れることがある。本来、夜間就寝中にニコチンが体内に摂取されることはないが、本薬を使用すると24時間持続的にニコチンが取り込まれることになるため、その影響で睡眠障害が起こるものと推測されている。睡眠障害が生じた場合には、張り替えるタイミングを変更する(就寝前から起床後など)か、投与を中止する。なお、本薬の「禁忌」は、表1の通りである。

 ニコチン製剤には、ほかにニコチンガム(商品名:ニコレット、OTC製剤)が販売されているが、ニコチンパッチ製剤は、1日1回の張り替えで安定した血中ニコチン濃度を実現できる点が最大の特徴である。また、ガム製剤に比べ、(1)投与前の患者指導が容易である、(2)義歯装着者など歯の悪い人、営業マンなどの接客関係の人にも使用しやすい−−といった利点も有している。今回、限定的ながらも保険適用されたことで、ニコチンパッチ製剤は禁煙指導に広く使用されていくものと考えられる。

表1 ニコチネルTTSの「禁忌」

1. 非喫煙者
2. 妊婦、授乳婦
3. 不安定狭心症、急性期の心筋梗塞(発症後3カ月以内)、重篤な不整脈がある患者または経皮的冠動脈形成術直後、冠動脈バイパス術直後の患者
4. 脳血管障害回復初期の患者
5. 本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者