抗真菌薬「アムビゾーム点滴静注用50mg」(製造・販売:大日本住友製薬)

 2006年4月、ポリエンマクロライド系抗真菌薬の「アムホテリシンBリポソーム」(商品名:アムビゾームL-AMB)製剤が承認され、6月1日に薬価収載された。大日本住友製薬から、近く発売される予定である。L-AMBは、欧米を中心に世界45カ国で承認・発売されている。

 L-AMBの主有効成分であるアムホテリシンB自体は、我が国では1960年代に発売され、効果の高い深在性真菌症治療薬として位置付けられている。近年、深在性真菌症治療では、ミコナゾール(商品名:フロリードほか)などのアゾール系抗真菌薬が主流となっているが、アムホテリシンBは、アゾール系薬剤が効果を示さないムコールなどの接合菌やアゾール系薬剤に抵抗性を示すアスペルギルス属などにも有効であるといった特徴を持つ。また、現在使用されている抗真菌薬の中で唯一、殺菌的に効果を示す薬剤でもある。

 しかし一方で、アムホテリシンBは、腎機能障害や低カリウム血症、点滴注射中の発熱、悪寒、嘔気・嘔吐など強い副作用を有しているため、投与後の患者の状態を常に観察し、副作用の程度を見ながら投与量の調節をする必要があるなど、使いにくい薬剤とされていた。

 今回、使用可能となったL-AMBは、従来のアムホテリシンBの強い抗真菌活性を生かしたまま、副作用軽減を図る目的で開発されたドラッグデリバリーシステムDDS)製剤である。具体的には、アムホテリシンBをリポソーム(脂質二分子膜)内に封入することで、血管透過性が亢進した感染病巣への移行は維持したまま、毛細血管からの漏出や組織細胞への移行を制限し、腎機能障害を軽減する。また、点滴注射中の悪寒や発熱など急性副作用も、従来のアムホテリシンB製剤に比べて半減したという報告もある。また、リポソームに封入したDDS製剤であることから血中滞留性に優れている。

 臨床的には、L-AMBは従来の抗真菌薬が効果を示さない「真菌症が疑われる発熱性好中球減少症」にも有効であり、この疾患に関して日本で初めて適応を取得した抗真菌薬である。またL-AMBは、アムホテリシンBでは認められていない「小児に対する投与」も認められている。なお、L-AMB以外に小児に対しての適応を有する深在性抗真菌薬としては、今年4月に小児への用法・用量が追加されたミカファンギンナトリウム(商品名:ファンガード)のみである。

 なお、使用法などに関して、L-AMBとアムホテリシンBとで異なる点を表1にまとめた。これまで使用していたアムホテリシンBをL-AMBに切り替えるような場合には、十分注意したい。

表1 使用上の注意に関するL-AMBとアムホテリシンBの違い

1. L-AMBは点滴静注のみの製剤である。アムホテリシンBは点滴静注以外にも気管内注入、胸膜内注入、髄腔内注入、膀胱内注入、皮内注、吸入の投与法が認められている。
2. L-AMBでは、可塑剤としてDEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)を含む塩化ビニル製の輸液セット等の使用を避ける(DEHP溶出の危険性がある)。
3. L-AMBは2〜8℃で保存する。アムホテリシンBは15℃以下で遮光保存。