抗精神病薬「エビリファイ錠6mg」(製造・販売:大塚製薬) ほかに錠3mg、散1%もある。

 2006年1月、抗精神病薬の「アリピプラゾ―ル」(商品名:エビリファイ)が承認された。既に薬価基準にも収載され、6月8日に発売されている。大塚製薬が製造・販売する。本薬は、1988年に日本で発見・開発された新規化合物で、ドパミン・システム・スタビライザ―という新しい作用メカニズムが特徴である。既に米国をはじめとして、世界45カ国以上で発売されている。

 近年、統合失調症の薬物療法の主流は、従来のハロペリドール(商品名:セレネ―スほか)をはじめとする定型抗精神病薬から、非定型抗精神病薬に移行してきている。これは、非定型薬剤が陽性症状だけでなく陰性症状にも効果を示すことや、錐体外路系副作用が少ないためである。

 現在使用されている非定型抗精神病薬は、セロトニン・ドパミン・アンタゴニスト(SDA)と称されるリスペリドン(商品名:リスパダ―ル)、塩酸ペロスピロン水和物(商品名:ルーラン)と、SDA以外にも多くの作用点を有する多元受容体標的化抗精神病薬(MARTA)のオランザピン(商品名:ジプレキサ)、フマル酸クエチアピン(商品名:セロクエル)に大別される。

 これらに対しアリピプラゾ―ルは、従来とは異なる新しいタイプの非定型薬剤として位置付けられている。具体的には、ドパミン作動性神経伝達が過剰活動状態の場合には、ドパミンD2受容体のアンタゴニストとして作用し、ドパミン作動性神経伝達が低下している場合には、ドパミンD2受容体のアゴニストとして作用する。このような薬剤を、部分アゴニストパーシャルアゴニスト)と呼ぶ。その結果、脳内でドパミンが大量に放出されているときには抑制的に働き、ドパミンが少量しか放出されていないときには刺激する方向で作用することになる。このようにドパミン作動性神経伝達を安定化する働きをすることから、本薬は「ドパミン・システム・スタビライザ―」(DSS)と称されているのである。

 またDSSとしての作用のほかに、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用やセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用をも併せ持っていることから、統合失調症の幻覚・妄想などの陽性症状だけでなく、感情的ひきこもり、情動鈍麻などの陰性症状をも改善し、さらに既存の薬剤に比べて錐体外路系症状やプロラクチン値上昇などの副作用が少ないといった特性を有している。このような特徴が評価され、既に本薬が発売されている各国では、年々使用量が増加している状況である。

 ただしアリピプラゾ―ルは、高血糖に関連する有害事象(糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡など)の発現リスクとの因果関係が明確でなく、かつ海外で発現報告があることから、MARTAの2薬剤と同様、添付文書の警告欄では、高血糖発現に対しての注意が喚起されている。

 また使用に当たっては、(1)薬物動態において未変化体と同程度の作用を有する代謝物の血中半減期が約279時間と長く、定常状態に達するには約2週間を要することから、投与開始2週間以内での増量などは避けることが望ましい、(2)副作用は、ほかの統合失調症治療薬からアリピプラゾ―ルに切り替えた患者より、新しくアリピプラゾ―ルを使用する患者の方が発現しやすい−−といった点にも注意したい。