「ニューロタン錠」の添付文書(2006年4月改訂・第14版)から。下線部が今回の改訂部分。

 2006年4月20日、高血圧治療薬のロサルタンカリウム(商品名:ニューロタン)に、新たに糖尿病性腎症の適応追加が承認され、併せて添付文書も改訂された(右写真)。具体的には、従来からの適応症である「高血圧症」に、「高血圧及び蛋白尿を伴う2型糖尿病における糖尿病性腎症」が追加されている。

 ロサルタンは、血管収縮作用を示すアンジオテンシンII受容体を特異的に拮抗阻害することで降圧効果を発揮するアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)である。現在、わが国では、5種類のARBが臨床使用されている。ARBは、同じレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬であるACE阻害薬と比べて、空咳の副作用が少ないという特徴があることなどから、臨床での使用頻度が年々高くなってきている。

 またRA系薬剤は、降圧とともに尿蛋白の低下作用を有することから、日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン2004』では腎疾患を合併する高血圧に対する「第一次薬」に推奨されている。特に糖尿病性腎症は、現在、人工透析導入の原因疾患の40%以上を占めており、罹患患者数も年々増加傾向にあることから、その対策が急務となっている。

 今回、ロサルタンへの「糖尿病性腎症」の適応追加は、大規模国際共同試験の結果を基に承認された。具体的には「RENAAL」と呼ばれる国際共同試験で、蛋白尿を伴う2型糖尿病患者1513例(うち日本人96例)を対象に、プラセボを対照とした無作為二重盲検比較試験が行われた。その結果、ロサルタン投与の効果として、血清クレアチニン値の増加、末期腎不全または死亡の発現率の減少、腎症進展の有意な遅延などが明らかになった。

 ただし、ロサルタンの糖尿病性腎症に対する有効性は、尿中アルブミン/クレアチニン比で 300mg/g以上の蛋白尿を合併した患者でしか確認されていない。また、本薬投与中には、一過性の血圧低下、血清カリウム上昇および血清クリアチニン上昇、貧血が生じやすいことから、定期的(投与開始時は2週間ごと、安定後は月1回程度)に、血圧測定と血液検査を行うことが必要とされている。

  なお、RA系抑制薬では、既にACE阻害薬の塩酸イミダプリル(商品名:タナトリル)が同じ糖尿病性腎症に適応を有している。ただし、イミダプリルの適応は「1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症」であり、「2型糖尿病における糖尿病性腎症」に適応を取得したロサルタンとは適応が異なっている。