閉経後乳癌治療薬「フェマーラ錠2.5mg」(写真上:ノバルティスファーマ、下:中外製薬)

 2006年1月23日、閉経後乳癌治療薬レトロゾール」(商品名:フェマーラ錠、写真)が製造承認を取得した。近く薬価収載され、発売される見込みである。承認申請者はノバルティスファーマで、販売は同社と中外製薬が共同で行う。

 乳癌治療薬は、ここ数年で次々と新薬が登場しており、治療成績や患者のQOL向上に関して飛躍的な進歩を遂げている。そもそも乳癌は、近年、日本人女性における年齢調整罹患率で胃癌を抜いて第1位となり、今後とも患者数は増加の傾向が続くと推測されている。治療は、局所的な外科手術や放射線療法が主体となるが、癌転移や再発の防止などを目的とした全身療法として、薬物療法が広く行われている。

 最近臨床での使用が可能になった乳癌治療薬としては、乳癌のゲノム解析研究により開発されたトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン注)、エストロゲン依存性の乳癌(特に閉経後乳癌)に有効なアロマターゼ阻害薬などが挙げられる。アロマターゼ阻害薬には、ファドロゾール(商品名:アフェマ錠)、アナストロゾール(商品名:アリミデックス錠)、エキセメスタン(商品名:アロマシン錠)の3薬剤が既に発売されている。今回発売されたレトロゾールも、アロマターゼ阻害薬の一つである。

 アロマターゼは、エストロゲン合成に関与する酵素である。閉経後の女性では、エストロゲン産生を担っている卵巣が衰えるが、副腎で産生されるアンドロゲンが筋肉・結合組織などの末梢組織においてエストロゲンに変換され、体内のエストロゲン量を維持している。このアンドロゲンからエストロゲンへの変換に必要不可欠な酵素の一つがアロマターゼであり、アロマターゼ阻害薬を投与することで、エストロゲン依存性乳癌の増殖が抑制される。

【レトロゾールの概要】

 今回、新しく承認されたレトロゾールは、2001年に米食品医薬品局(FDA)が進行乳癌の第一選択薬として承認し、既に世界90カ国以上で販売されている標準的治療薬剤である。米国では、同系列のアナストロゾールより早く承認されていたが、日本では 2003年2月に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会から「用法が明確でない」との理由で追加の臨床試験実施が求められ、承認が遅れていた経緯がある。

 レトロゾールは2006年3月、ドイツで手術後の閉経後早期乳癌患者に対する術後補助療法(アジュバント療法)に適応承認を取得している。また、大規模臨床試験(タモキシフェンとの比較試験など)でも術後補助療法での有用性が報告されており、術後の再発リスクの減少や無病生存期間の延長などに有意な改善効果を発揮する新しいアロマターゼ阻害薬として期待されている。