ニトロダームTTSの添付文書(2006年3月改訂・第7版)から

 3月24日付の厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づき、血管拡張薬である硝酸イソソルビド貼付剤(商品名:フランドルテープSほか)と、ニトログリセリンの軟膏剤(商品名:バソレーター軟膏ほか)、貼付剤(商品名:ニトロダームTTSほか)の添付文書が改訂され、適用上の注意として「自動体外式除細動器AED)の妨げにならないように貼付部位を考慮するなど、患者、その家族等に指導することが望ましい」という一文が追記された。

 AEDとは、自動的に心電図を解析して除細動の適応があるかどうかを判断し、適応がある場合にはポンプ機能を果たしていない心臓に電気ショックを与え、正しいリズム機能を回復させる救命装置である。心停止状態における救命手当ての方法としては、人工呼吸や心臓マッサージがよく知られているが、これらの方法ではリズムを失った心臓機能を正常化できない場合も少なくない。医師による電気ショックで心臓機能を改善する方法は有効性が高いが、使用には高い専門性が必要であり、医療機関外では使用できなかった。AEDは、上記のようにコンピューター制御された装置であるため、専門的な知識がなくても安全に使用できる点が有用である。また医療機関外、特に心疾患患者の自宅や救急車の中などに設置できるため、緊急時に、よりスピーディーな対応が可能になる。

 世界的にAEDが普及するきっかけになったのは、米国心臓協会(AHA)が2000年に改訂・発表した『心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン2000』である(最新は2005年版)。このガイドラインは、心肺蘇生法と救急心血管治療を集大成したガイドラインとして世界的に評価が高いが、この中で、訓練された市民によるAEDの使用が推奨されたのである。最近は日本でも、このガイドラインに沿って、医療従事者や一般人を対象にした一次救命処置の講習が行われるようになっている。

 近年、AEDの認知度が高まるに従い、使用時に注意すべきことも明らかになってきている。その1つが、経皮吸収型薬剤の貼付位置である。貼付剤は、アルミ箔などの金属で表面が覆われているため、AED使用時に通電パッドの下に貼られていると、電極から心臓への通電エネルギーが遮断される場合がある。実際、皮膚に小さな火傷を起こした例も報告されている。

 こうしたことから日本循環器学会は、2005年10月に『硝酸薬貼付剤の貼付場所に関する提言』を発表。「心臓病患者への硝酸薬貼付剤は前胸部を避けて貼ることが望ましい」と提言するとともに、製薬会社には添付文書への加筆を、医療関係者には患者指導を求めている。この提言を受けて厚生労働省は、医薬食品局安全対策課「事務連絡」を出し、添付文書の「適用上の注意」の項に、冒頭の文言を追記したのである。