REVEAL研究(アルツハイマー病に関するリスク評価と教育の研究)の一環として行われたその調査の結果は、2009年に『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌上で発表された。それは被験者がその遺伝子の変異を持つかどうかを明らかにする最初の試みだった。結果が陰性だった人は胸をなでおろしたが、陽性だと知らされた人も、ショックは一時的なものだった。精神的な打撃は、思ったほどひどくなく、すぐに消えた。

 その研究グループの代表者であるロバート・C・グリーンは、ボストン大学の神経学、遺伝学、疫学の教授で、ハーバード・メディカルスクールの遺伝学フェローでもあるが、「自分の(ApoE)e4が陽性で、アルツハイマー病のリスクが高いことを知った被験者は、自分の遺伝子型を知らない人に比べて、不安、心痛、憂鬱が強くなることはなかった」と述べた。それだけではない。グリーンは、私が長く考えていたのと同じことを主張した。「遺伝的リスクの情報を得ることは、ある人々にはプラスに働き、力づけることができる。たとえその病気が恐ろしいもので、遺伝情報を知ることに医学的利点がないとしても」。

 遺伝子検査を受けるかどうかを決める際に、問題となるのは、「私は知りたいのか?」ではなく、検査の結果、ある病気に罹患するリスクが高いとわかったら、「どう対処すればよいか?」である。「知るは力なり」という格言は真実のようだ。もし知らなければ、未来の自分を守るためにどうすればよいか、わからないまま生きていくことになる。

 とは言うものの、当初、私自身は懐疑的だった。検査結果が自分に影響したり、自分を変えたりするとは考えていなかったのだ。しかし、金曜の夜に帰宅して、メールで届いた結果を見た時のことは、いまだに忘れられない。パソコンの画面に映し出された結果を自分の目で確かめた時、私は恐れのようなものを感じた。

 まさに「自分」を見た私は、その瞬間に変わった。食事や運動、生活の仕方を変えた。私の検査結果は子どもたちにも影響するはずなので、その経験は家族全体をも変えた。私たちはライフスタイルの改善に取り組み始めた。自分の遺伝子を見て、自分の未来を知ることは、変わるための何よりの刺激だと私は思う。活力となるものであり、脅威ではないのだ。

 図表は、私個人の遺伝子プロファイルであり、報告にあるその通りの情報である(「注意」は私に向けてのものだ)。これが私の目を覚まさせた。心血管疾患に対するリスクの高さは現実であり、私は行動を起こした。(次回に続く)

図表◎私の遺伝子プロファイル
(注1)あなたのパーセンタイル:他の人と比べてどうかがわかる。母集団と比較して、SNPsに基づくあなたのリスクをパーセンタイルで示す。
(注2)あなたの生涯リスク:生涯を通じて、その病気になるリスク。いくつかの病気では、数値として生涯リスクを示すことができない。そのような場合には、その病気のリスクが増大しているかどうかを示す。
(注3)平均的な生涯リスク:平均的な人が一生のうちその病気にかかるリスク。性別によって変わる。ヘモクロマトーシスや乳糖不耐症などいくつかの病気では、平均的な生涯リスクは算出できない。
注意:グレーの欄は、あなたの総合的なリスクが25パーセントを超えているか、平均的な生涯リスクを20パーセント以上上回っているかのどちらかである。
出典:ナビジェニクス