肺癌の外来化学療法の実際

 非小細胞肺癌に使用可能なレジメンは、併用や単剤治療を含めていくつかあるが、佐々木氏は、高齢者進行非小細胞肺癌への外来化学療法可能なプラチナ併用レジメンの臨床試験結果を紹介した。

 これまで行われたELVIS試験(ビノレルビンとベストサポーティブケアを比較し、ビノレルビン群で有意な生存期間中央値の延長が確認された試験)やMILES試験(ビノレルビン単独群、ジェムザール単独群、2剤併用群を比較し、奏効率や生存期間中央値で有意差はなかったが、併用群で毒性が高頻度に認められた試験)の結果や、06年に報告されたWJTOG9904試験でも、日本人ではドセタキセル単剤治療で高い奏効が得られており、現在では、これら単剤治療が標準治療になっている。

図2 高齢者非小細胞肺癌患者を対象としたECOG1594試験の結果概要(画像をクリックすると拡大します)

 しかし、シスプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ジェムザール、カルボプラチンのいずれかを2剤併用して比較したECOG1594試験のサブ解析では、70歳以上でもコンプライアンスや生存期間中央値、1年生存率、2年生存率は、70歳未満と比べてもほとんど変わらなかった(図2)。

 国内では、熊本大学を中心に、カルボプラチン+パクリタキセル併用のフェーズII臨床試験が行われた。70歳以上、術後再発を含むIII期、IV期の患者25人が対象。レジメンは、カルボプラチンが5AUC、パクリタキセルが若干少ない180mg/m2で3週ごとの投与。プライマリーエンドポイントは奏効率、セカンダリーは1年生存率、PFS、安全性となっている。

図3 熊本大学を中心に実施されたカルボプラチン+パクリタキセル併用のフェーズII臨床試験の概要(画像をクリックすると拡大します)

 その結果、奏効率28%、病勢制御率84%、生存期間中央値は12.9カ月、そして血液毒性は比較的軽度と高齢者においても施行可能であったが(図3)、問題点として浮上したのは、末梢神経障害だった。これがQOLに影響を与え、コンプライアンス低下にもつながった。約50%の症例が1コース以上外来で施行可能だったが、50%は入院のみでの施行で、外来施行ケースのほとんどが1〜2コースで外来治療から脱落してしまった。

外来化学療法にカルボプラチンとゲムシタビン併用

 末梢神経障害がQOLに大きく影響を与えるため、カルボプラチンと、パクリタキセルに代えてゲムシタビンを併用するフェーズII臨床試験が実施された。これは、熊本赤十字病院呼吸器科の森山英士氏らが実施した多施設共同フェーズII臨床試験で、70歳以上、PS 0,1の術後再発を含むIII期、IV期の患者が対象。プライマリーエンドポイントに奏効率、セカンダリーエンドポイントに1年生存率、PFS、QOL、安全性としている。