III期、IVa期でのCCRTの位置づけは?

 また、手術療法に付随した治療法、手術療法以外の主治療法として、「ガイドライン作成の際に最も難しかった」(子宮頸癌ガイドライン術後小委員会委員長で、和歌山県立大学産科婦人科学教授の梅咲咲直彦氏)とされたのが、III期、IVa期における治療法だ。

 III期とIVa期は手術療法は推奨されない(グレードA')ため、放射線療法を推奨しているが、この際、放射線療法単独と同時化学放射線療法(CCRT)のいずれかが推奨されるかという点だ。

 欧米の数多くの試験のメタ解析を行った結果は、CCRTの方が優れるというものだったが(Green JA et al. Lancet 2001;368:781-86)、今回のガイドラインでは「放射線治療単独よりもCCRTが推奨される」としたものの、推奨グレードはBとした。

 欧米でCCRTに用いられる化学療法としてエビデンスが蓄積しているのは、シスプラチンを40mg/m2/週に5-FUを加えるレジメンで、グレード3の有害事象はほとんど見られていない。しかし、日本では、シスプラチンを40mg/m2/週を投与すると、グレード3の有害事象が8割を超え、放射線療法を中止せざるを得ない場合もあるという。実は欧米でも毒性の評価についてはまだ十分ではなく、今後の課題とされている。

 加えて、放射線療法についても、国内外で放射線の総線量や総治療期間、線源などが異なるといった相違点がある。そこで、CCRTの推奨をグレードBとし、実地臨床での適用には十分な注意が必要であるとした。

 I期、II期の術前化学療法については、予後改善効果が示されていないとしてグレードCとしたが、梅咲氏は、「今後、新しい抗癌剤が出てきたら変わる可能性がある」と指摘した。

 このように子宮頸癌のガイドラインにおける治療法の選択において国内外で違いが見られる点について、作成委員会の副委員長を務めた東北大学大学院医学研究科婦人科学分野教授の八重樫伸生氏は、「欧米のガイドラインはレベルの高いエビデンスに基づいていて、今回の日本のガイドラインは欧米と異なる点も多い。しかし、一概に欧米の推奨治療法をそのまま日本人に当てはめると、例えば化学療法など思わぬ副作用が出てしまう可能性もある。現時点では、日本で蓄積された知識やノウハウを反映したガイドラインとした。まずはガイドラインとしてまとめて公開し、今後、改訂によってよりいいものにしていきたい」と総括した。

 なお、このガイドラインをまとめるにあたり、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構の後援を受けている。