卵巣に発生する腫瘍は膨大な種類があるが、その発生母地によって、上皮性の卵巣腫瘍(epithelial Tumor)、ホルモン分泌細胞に由来する性索間質性腫瘍(Sex Cord Tumor)、卵子に由来する胚細胞腫瘍(Germ Cell Tumor)に大別される。

 上皮性卵巣癌は、卵巣癌の約9割を占める最も頻度の高い癌であり、一般的に卵巣癌と呼ばれるのはこの上皮性卵巣癌となる。上皮性卵巣癌は、さらに組織型で、漿液性癌、類内膜癌、粘液性癌、明細胞癌などに分類される。一番症例が多いのは漿液性癌であり、頻度は少ないが予後が不良で、化学療法が効きにくいのが粘液性癌や明細胞癌となる。

 一方、性索間質性腫瘍の発症割合は全卵巣癌のなかで1%以下、胚細胞腫瘍は5〜6%程度となっている。

 卵巣癌の年間罹患者数は約7000人、死亡数は約4000人。40〜65歳が好発年齢となっている。卵巣癌のリスク因子として不妊や未経産が知られているが、卵巣癌の最大のリスク因子は、卵巣癌の家族歴であり相対危険度は3.1〜4.6。ただし、卵巣癌に対する有効な検診方法は開発されていないのが現状だ。

 卵巣癌は初期症状がほとんどないことから、早期発見が難しい。そのため、卵巣癌の8割以上がIII期以上で発見されている。進行期の症状としては、腹痛や腹部膨満、便通異常などがある。確定診断は組織診で行われる。

 卵巣癌の病期は、卵巣に限局している場合がI期、骨盤内の臓器に転移している場合がII期、III期になると腹腔内に進展する。IV期では肝臓に遠隔転移したり胸水を生じたりする。卵巣癌の場合、他の癌種と異なり、腹水が見られても末期癌とは限らない点がある。腹水が貯留しても、5年生存率が8割程度となるIC期と診断される場合すらある。

 卵巣癌の5年生存率は、ステージが上がるほど低くなり、III期で約3割、IV期で1割程度だ(下表参照)。

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 卵巣癌は、化学療法に感受性が高い癌だ。そのため、全ての病期で治療に化学療法が組み込まれている。補助化学療法(adjuvant chemotherapy)という表現は、I、II期術後にのみ用いられ、進行癌であるIII、IV期では、化学療法が主な治療法になるため、術後であっても補助化学療法とは言われない(初回化学療法と言う)。また、放射線治療はほとんど行われていない。 

 卵巣癌の治療では、一般的にI 期およびII期ではまず手術で腫瘍の完全摘出を目指し、その後、再発リスクの高い場合には再発予防の抗癌剤治療を行う。また、頻度の高い、III期およびIV期の癌では、手術療法と化学療法の両方を組み合わせて治療を行う。

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