頭頸部がんの手術後などは、組織切除による器質障害や神経や筋切断による機能障害が起こるため、嚥下機能に障害を生じやすい。嚥下機能のスクリーニング検査とそのアセスメントまでの流れと、嚥下リハビリテーションについて紹介する。

(監修・協力:静岡県立静岡がんセンター)

 がん患者における嚥下障害には、以下のような種類が挙げられる。

脳腫瘍(脳転移)による嚥下障害:脳血管疾患や頭部外傷による嚥下障害と同様に、障害部位に応じて嚥下障害を生じる。手術の影響や腫瘍の再発、増大に伴う意識障害や神経症状の変動があるため、注意が必要である。

頭頸部がん術後の嚥下障害:手術により口腔や咽頭、喉頭の解剖学的構造が大きく変化する。切除した部分や遊離組織移植などにより再建された部分は機能性がないため、残存器官に対して訓練を行う。

食道がん術後の嚥下障害:手術による合併症(反回神経麻痺)や創部の瘢痕狭窄により、食塊がうまく送りこまれず狭窄部にたまってしまうことがあり、常に誤嚥のリスクを伴う。このため、喉頭挙上訓練や息こらえ嚥下などを中心に訓練を行う。

化学療法・放射線療法中および後の嚥下障害:特に、頭頸部がんの治療では、口腔内乾燥や粘膜炎、疼痛などの口腔粘膜炎を生じる。このため舌運動の低下や嚥下反射の誘発が遅延傾向となる。また、局所の浮腫や炎症により誤嚥のリスクが高まる。治療の進行状況や症状に合わせ、介入方法を検討する必要がある。

終末期がん患者の嚥下障害:がんによる障害だけでなく、薬物性や全身衰弱などに伴うものまで、さまざまな嚥下障害が生じる。終末期のがん患者に対しては、安全かつできる限り長く、食べられる楽しみを保てるように援助することが大切である。

動画1 嚥下機能の検査