INT0099試験の結果を中国南部における風土病の上咽頭癌、すなわち放射線療法の感受性が良好なType IIIの上咽頭癌にも適用できるのかという点は、長年議論されてきた。そこで風土病の上咽頭癌が多い地域で同様の試験が行われ、無病生存率(3年)は放射線療法単独群で53%、化学放射線療法群で72%と、後者で有意に良好であった(p=0.0093)。また全生存率(3年)はそれぞれ65%と80%で、同様に化学放射線療法群で有意に良好であった(p=0.0061)ことから、風土病の上咽頭癌においても標準治療は化学放射線療法と認識されるようになった。

●口腔内癌の治療

 口腔内癌のなかでは舌癌が約60%を占める。日本では外科的切除が主で、動注化学療法も行われる。欧米では化学放射線療法も行われるが治療成績は不良であり、日本では化学放射線療法は行われていない。

●局所進行頭頸部(中咽頭・喉頭・下咽頭)扁平上皮癌の治療−切除可能例

 切除可能な場合の標準治療は外科的切除で、再発リスクに応じて術後補助療法を加える。喉頭温存を患者が希望する場合や切除不能の場合は化学放射線療法が標準治療となる。導入化学療法や分子標的薬による治療は、現時点では試験的治療とされる。

 この部位の術後補助療法は、切除断端陰性でN0またはN1、節外進展を認めないLow risk群に行うメリットは認められておらず、切除断端陽性でN2以上、節外進展を認めるHigh risk群のみを対象とするべきである。

 術後補助療法としては放射線療法がこれまで行われてきたが、治療成績の向上を目指して術前および術後の補助化学療法、術後の放射線療法後に術後補助化学療法を行う方法、術後の化学放射線療法など、さまざまな方法が検討されてきた。しかし、術後化学放射線療法以外の治療法において生存への上乗せ効果は得られない結果であった。

 1996年に報告された、High risk群を対象としたCDDPを用いる化学放射線療法群と放射線療法単独群との比較試験では、化学放射線療法群が無再発生存率、生存率は有意に優れ、局所再発率も良好であることが報告された。

 その後European Organization for Research and Treatment(EORTC)のEORTC22931試験やRadiation Therapy Oncology Group(RTOG)のRTOG9501試験でも、High risk群を対象に同じデザインの大規模試験が行われ、2004年に結果が報告された(下表)。両試験ともに化学放射線療法が局所再発率、無再発生存率で有意に上回っていたことが示され、さらにEORTC22931試験では生存率も有意に良好であった。以上から、術後補助療法の標準治療は、術後化学放射線療法となった。

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