一方、日本で行われたFACS試験は、ステージIIIB/IV期を対象に、CDDP+CPT11(IP)をコントロールとしてカルボプラチン(CBDCA)+PTX(TC)、CDDP+GEM(GP)、CDDP+VNR(NP)を比較したもの。生存期間中央値(MST)はIPが13.9カ月、TCが12.3カ月、GPが14.0カ月、NPが11.4カ月。1年生存率は、IPで59%、TCで51%、GPで60%、NPで48%。無増悪生存期間(TTP)はIPで4.7カ月、TCで4.5カ月、GPで4.0カ月、NPで4.1カ月であった。

 ECOG試験ではTC療法で血液毒性、発熱性好中球減少が少なかったが、日本の試験では、GP療法において発熱性好中球減少が少ないという結果であった。ただし、GP療法では、血小板減少が多く、貧血に関してはTC療法が少なかった。一方、非血液毒性では、TC療法において、ニューロパシーが多くみられた(下図参照)。

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 我が国で行われたカルボプラチン+パクリタキセル併用の臨床試験の結果を、海外の結果と比べると、好中球減少や発熱性好中球減少が日本で強く出ている。また、MSTが長いという特徴もある。血液毒性が強い理由の一つは血清クレアチニンの計測方法が日本では酵素法、米国ではJaffe法が多く、そのため0.2くらい日本のほうが低く出るので、Calvertの式でカルボプラチンを計算すると、実際の投与量が日本では多くなり、このような結果になるのではないかと考察されている。

 期待の大きい分子標的薬については、カルボプラチン+パクリタキセルにベバシズマブ追加の効果をみたECOG4599試験で、ベバシズマブ追加によって生存期間が有意に延長することが示された。(下図参照)

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 日本でも、ほぼ同様のランダム化第II試験を行い、2008年11月、ベバシズマブの非小細胞肺癌に対する適応拡大申請が厚生労働省に提出された。ただし、ECOG4599試験では、血液毒性としてベバシズマブ併用により好中球減少が有意に増え、発熱性好中球減少も有意に増えるという結果であった。加えて、喀血や感染などによる治療関連死が、化学療法単独では0.5%であったのに比較して、ベバシズマブ追加では3.6%と高まっていた点は注意が必要だろう。

 一方、非喫煙者、非小細胞肺癌の一種である腺癌、アジア人では、ゲフィチニブの有効性が高いことが知られている。そのため、非喫煙者かつ腺癌を有するアジア人を対象にIPASS試験が、アジア9カ国で行われた。IPASS試験は、ファーストラインで、カルボプラチン+パクリタキセル(TC)をコントロールとして、ゲフィチニブ単独を比較する試験である。

 結果は、2008年9月に発表され、無増悪生存期間が交差する奇妙な曲線となった。上皮成長因子受容体遺伝子突然変異(EGRF mutation)を有する例では、TCに比較して、無増悪生存期間が明らかに良好であった。また、EGFR mutationを有さない例では逆にTC群が良好であった。全生存期間については、未だ観察が不十分である。EGFR mutationを有する例では、ゲフィチニブも標準治療の一つになり得ることが示されたといえる。Mutationを有さない例の無増悪生存期間は極めて不良であり、セカンドラインを含めてゲフィチニブの意義が少ないことが示唆される。