2013年10月末から流通が止まっていたponatinib(商品名「Iclusig」)について、米食品医薬品局(FDA)は2013年12月20日、米ARIAD Pharmaceuticals社に対して、マーケティング活動と商業流通の再開を認めた。

 FDAはponatinibの臨床試験データを精査して、この薬剤に関する、改定版の添付文書(USPI)とリスク評価・緩和戦略(REMS)を承認した。これにより同社は、約2カ月中止していたマーケティング活動と商業流通を速やかに再開できることになった。

 USPIの中で改定されたのは、適応に関する記述と黒枠警告部分。開始用量は45mg/日のままで変更はない。

 改訂後のponatinibの適応は、成人の
・T315I変異陽性の慢性骨髄性白血病(慢性期、移行期、急性転化期)の患者、またはT315I陽性でフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)の急性リンパ芽球性白血病の患者
・慢性期、移行期、急性転化期の慢性骨髄性白血病、またはPh+の急性リンパ芽球性白血病で、他のチロシンキナーゼ阻害薬の適応ではない患者
となっている。

 黒枠警告は血管閉塞性イベントのリスクについて注意を喚起し、心不全に関する新たな警告を加えるために改定された。
  
 商業的な流通が中止されるまでに、米国では約640人の患者がponatinibの調剤を受けていた。それ以降は、人道的利用のみが可能で、緊急使用が認められた患者と、個人患者IND(治験申請)に対する承認を得た患者がこれを使用していた。この間にFDAは350件の個人患者INDを承認、うち260件は既にponatinibを使用していた患者のための申請だった。

 米国内での流通再開は1月半ばになる見込みだ。それまでは、ponatinibを必要とする患者は個人患者INDを利用して治療を継続することになる。

 また、ARIAD社は、REMSプログラムに基づいて3週間以内に、個々の医師や学会に対して血管閉塞性イベントのリスクに関する情報を提供、専門誌で広報する、また、学会などで伝えるに適した概要説明も提供する。それらは全て、ponatinibのウエブサイトのREMSのページに掲載されることになっている。

 加えて同社は、2014年以降に、FDAに要求された一連の市販後調査を履行することにした。目的は、血管閉塞性イベントのリスクについてより詳細に理解し、さまざまな用量の有効性と安全性を検討することにある。

 具体的には、ponatinib使用中に発生した、重症の、または受診や治療が必要な血管閉塞性イベントの危険因子を同定し、どのような治療が行われたか、どのような転帰になったのかについて、ファーマコヴィジランス評価を積極的に行う。医師からponatinibを処方された患者を前向きに観察し、抗凝固薬または抗血小板薬の併用あり、もしくは無しの状態での血管閉塞性イベントの罹患率と危険因子を評価する。ARIAD社の後援で行われている3件の臨床試験に登録され、ponatinibの投与を受けたPh+白血病患者の追跡を継続し、長期的な血管閉塞性イベントリスクと安全性を評価する。難治性の慢性骨髄性白血病で慢性期にある患者を登録し、さまざまな用量のponatinibに割り付ける無作為化試験を行い、安全な使用のための情報を収集する。

 ponatinibは、CMLやPh+ALLの細胞に発現している異常なチロシンキナーゼであるBCR-ABLを主な標的とし、チロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性を付与するT315Iのような変異が生じたBCR-ABLにも強力に作用する。また、FLT3、RET、KITなどのチロシンキナーゼや、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)や血小板由来成長因子受容体(PDGFR)ファミリーに属するキナーゼなども選択的に阻害する。