経口選択的PI3Kα阻害剤であるBYL719が、日本人の進行固形癌に有望であることが明らかとなった。進行中の多施設オープンラベル用量増多フェーズ1試験の予備的な結果より示されたもの。10月19日から23日まで米国ボストンで開催されているAACR-NCI-EORTC International Conference on Molecular Targets and Cancer Therapeutics(AACR-NCI-EORTC2013)で、名古屋医療センターの小暮啓人氏によって発表された。

 フェーズ1試験は、18歳以上の組織学的に確認された手術不能進行固形癌患者で、標準的な治療でも進行、または標準的な治療がない患者を対象に行われた。患者は28日間を1サイクルとして、連日BYL719の経口投与を受けた。試験の主要目的はBYL719の連日投与のフェーズ2の推奨用量を決定することだった。最大耐量(MTD)は医学的に受け入れられない用量制限毒性が1サイクル目で患者の33%超に発生しない最も高い量とした。副次目的はRECISTによる抗腫瘍効果、安全性、薬物動態プロファイルだった。推奨用量でPIK3CA遺伝子に変異のある進行固形癌患者を対象に拡大試験が行われる予定。

 2013年5月20日までに24人が登録された。年齢中央値は56歳、58%が男性だった。BYL719の1日投与量によって90mg群(3人)、180mg群(4人)、270mg群(5人)、350mg群(5人)、400mg群(7人)に分けられた。

 400mg群で評価可能な4人中2人で用量制限毒性(どちらもグレード3の丘疹状皮疹)が発現した。

 19人が投薬継続困難となったが、そのうち5人が副作用、11人が病勢進行、2人が患者などによる決定、1人が病勢進行による死亡だった。投与期間中央値は7.6週(2.4-55.9)だった。

 BYL719投与に関連すると考えられる25%超に発現した全グレードの副作用は、丘疹状皮疹(50%)、下痢(42%)、高血糖(38%)、食欲減少(29%)、掻痒(29%)だった。10%以上に発現したグレード3/4の副作用は丘疹状皮疹(29%)と高血糖(13%)だった。

 5月20日以降に350mg群に患者1人が追加されたが、評価可能な6人で用量制限毒性は認められなかった。Bayesian logistic regressionモデルに基づくと、1日あたり380mgの連日投与が推奨用量になるが、400mg群で用量制限毒性が発現したことから、推奨用量は1日あたり350mgの連日投与とされた。

 抗腫瘍効果は、5月20日時点で22人が評価可能で、完全奏効、部分奏効はなく、9人で病勢安定が得られた。5月20日以降に、病勢安定だった350mg投与群の子宮明細胞癌患者1人で確認部分奏効が得られた。