肺癌患者やその家族を対象とした調査の結果から、遺伝子変異のタイプによって選択できる肺癌の薬物療法が異なることを知っていると回答した肺癌患者はおよそ2割であることが明らかになった。ファイザーは10月9日、同社が実施したアンケート調査結果について発表した。

 調査は、今年5月15日〜19日にかけてインターネット調査で行われたもので、対象は肺癌と診断された患者210人、肺癌患者の家族338人の計548人。

 「肺癌の薬物治療は、遺伝子変異のタイプによって選択できる治療法が異なることを知っていますか」との問いに対し、「よく知っている」「知っている」と回答したのは患者の19.1%、患者家族の16.0%だった。

 さらに、「よく知っている」「知っている」と回答した患者・患者家族の割合を肺癌と診断された年度別に見ると、2006年以前に診断された患者が12.2%、2007〜2011年は14.1%、2012年以降が27.0%で、診断年が近年になるにつれ知っている患者が増加する傾向が見られた。このうち、薬物治療を実施した患者に限ると、2006年以前が17.2%、2007〜2011年が21.5%、2012年以降が31.1%だった。

 患者と患者家族に対し、知っている肺癌の遺伝子検査の種類を尋ねると、「知っているものはない」がおよそ9割を占めた。EGFRは患者の4.8%、患者家族の4.7%、ALKは4.3%、4.4%、KRASは2.9%、2.4%が知っていると回答した。

 治療の選択はどのようにして決めたかを尋ねたところ、「医師のすすめに準じた」が最も多く(患者の56.7%、患者家族の53.3%)、「医師と相談して患者が決めた」(36.2%、29.6%)、「家族で相談して決めた」(5.7%、10.9%)と続いた。

 薬物療法を提示された患者(77人)に対し、提示された治療選択肢を尋ねたところ、89.6%が「化学療法」、11.7%が「分子標的薬」と回答。

 遺伝子検査を実施した患者割合は10.0%で、実施しなかったのが58.1%、「分からない」と回答した患者が31.9%。実際に行った遺伝子検査の種類を尋ねると、ALKが71.4%、EGFRが57.1%、KRASが14.3%、その他が14.3%だった。

 肺癌治療を選択する際に役立った情報を患者に尋ねたところ、「癌の進行度合い(病期)」が60.5%、「治療の種類(手術、放射線、薬物など)」が59.5%、「癌の組織型(腺癌、扁平上皮癌)」が50.5%だった。

 また。肺癌治療を選択する際に役立った情報源は、「担当医の説明」が最も多く93.3%、次いで「メディアの医療情報」が21.0%、「医療機関の医療情報サイト」が18.6%だった。一方、「医療ソーシャルワーカーからの説明」と回答した人は患者の3.8%、患者家族の1.5%にとどまっている現状も明らかになった。

 肺癌治療と日常生活においてどのようなサポートが必要かとの質問に対しては、患者・患者家族ともに「医療保険」が最も多かった(患者の51.9%、患者家族の55.9%)。次いで「治療への金銭的サポート制度」(41.0%、50.0%)、「メンタルケアを含む生活上のサポート(がん相談支援室、ピアサポートなど)」(36.2%、45.6%)だった。

 これらの結果について日本肺癌学会理事長(九州大学大学院医学研究院教授)の中西洋一氏は、「今回の調査から、肺癌患者さん・ご家族の遺伝子変異別の治療法に対する認知度が近年上昇している傾向が見られた。肺癌は、EGFRやALKといった遺伝子変異に対する分子標的薬の登場により薬物治療体系が大きく変わり、遺伝子変異陽性患者においては従来の化学療法のみの治療と比べて奏効率、QOLの改善といった治療成績の向上が可能な時代になった。こうした背景から遺伝子変異別に自分にあった薬物療法が受けられるという情報が徐々に認知されてきていると考えられる」とコメントしている。

 回答者における男性割合は患者が75.2%、患者家族が47.6%。回答した患者の4割は60〜69歳で、55〜59歳と70歳以上はそれぞれ16%ほどを占めた。患者家族では、46〜49歳、50〜54歳がそれぞれ2割弱ほどだった。