切除不能肝細胞癌(HCC)を対象に、肝動脈化学塞栓術(trancecatheter arterial chemoembolization:TACE)後にVEGFとFGFの二重阻害剤であるbrivanibを加えても、全生存期間(OS)は延長できないことが明らかとなった。1次治療、2次治療としてのbrivanibのOSに関する効果が認められなかったために、2年早く終了となったフェーズ3試験BRISK-TAの結果、示されたもの。9月13日から15日まで米ワシンントンD.C.で開催された第7回INTERANATIONAL LIVER CANCER ASSOCIATION(ILCA)年会で、近畿大学の工藤正俊氏によって発表された。

 国際二重盲検フェーズ3試験は、中期のHCC患者を最初のTACE後に、800mgのbrivanibを連日投与する群(brivanib群)とプラセボを連日投与する群(プラセボ群)に分けて行われた。TACEは可能な限り連続して行われた。患者はChild-Pugh分類、ECOG PS、腫瘍径、施設の場所によって層別化されていた。主要評価項目はOSで、副次評価項目は疾患増悪までの時間(TTDP:肝外転移、血管浸潤、死亡、肝機能のChild-Pugh Cへの低下、PSの2ポイント低下で構成される時間)、肝外への拡大または血管浸潤までの時間(TTES/VI)、TACEのセッション率と安全性だった。探索的項目として1回目のTACE後の画像学的増悪(TTP)と客観的奏効率(ORR)が評価された。

 試験は早期終了となったために、予定された870人のうち、502人が無作為化されていた。88%がアジア人だった。患者背景は両群で差はなかった。治療期間中央値は、brivanib群が6.0カ月、プラセボ群は6.6カ月だった。

 試験の結果、OS中央値はプラセボ群(253人)が26.1カ月、brivanib群(249人)が26.4カ月で、ハザード比0.90(95%信頼区間:0.66-1.23)、p=0.5289で差がなかった。TTDP中央値もプラセボ群が10.9カ月、brivanib群が12.0カ月で、ハザード比0.94(95%信頼区間:0.72-1.22)、p=0.6209で差がなかった。TTES/VI中央値はプラセボ群が24.9カ月、brivanib群が未到達で、ハザード比0.64(95%信頼区間:0.45-0.90)、p=0.0096でbrivanib群が長かった。TACE回数中央値はプラセボ群が1.0、brivanib群が0.0で、ハザード比0.72(95%信頼区間:0.61-0.86)、p=0.0002で、brivanib群が少なかった。

 TTP中央値はプラセボ群が4.9カ月、brivanib群が8.4カ月、ハザード比0.61(95%信頼区間:0.48-0.77)、p<0.0001でbrivanib群で長かったが、ORRはプラセボ群41.9%(CRは11.1%)、brivanib群48.2%(22.1%)で、CR率は改善したが全体では差がなかった。

 brivanib群患者で10%以上高く認められた副作用は、高血圧、食欲減退、倦怠感、下痢、手足症候群、蛋白尿、低ナトリウム血症、甲状腺機能低下だった。

 工藤氏は「TTES/VI中央値、TTP中央値、TACEが減っていることから、薬剤の効果は認められている。試験を続けていれば、恐らく差がついたのではないかと思う」と語った。