ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するエベロリムスとエキセメスタンの併用投与で、4つの遺伝子及びその経路における変異の有無が、エベロリムスの効果に関係する可能性が明らかとなった。BOLERO-2試験の探索的解析で示されたもの。9月7日から9日までサンフランシスコで開催されたBreast Cancer Symposium 2013(ASCO BREAST)で、米University of CaliforniaのHope S. Rugo氏によって発表された。

 研究グループは、癌関連遺伝子パネルを用いて、エベロリムスによる利益と関連する遺伝子変異の探索を行った。BOLERO-2試験に参加した患者のホルマリン固定パラフィン包埋検体309件について、次世代シーケンシング技術を用いて、182個の癌遺伝子、癌抑制遺伝子の3230エクソンについて解析を行った。

 227検体で解析に成功し(NGS群とした)、点変異、挿入/欠失、コピー数変化、遺伝子再配列について調べた。HGS群の無増悪生存期間(PFS)はBOLERO-2試験のITT群とほぼ一致していた(NGS群のハザード比は0.40、ITT群は0.45)。患者背景にも差はなかった。

 NGS群の遺伝子変異は比較的ミスセンス変異(配列に変異があった1476個のうち1222個)と遺伝子増幅が多かった。ミスセンス変異の多くは新規の変異で生殖細胞変異だった。NGS群227検体のうち219検体に少なくとも1つの体細胞変異があり、平均の変異数は4.1個だった。182遺伝子の配列を決定し、104個の遺伝子に少なくとも1個の既知の体細胞変異があった。

 最も変異が多かった遺伝子はPIK3CA、CCND1(サイクリンD1)、p53、FGFR1だった。PIK3CA遺伝子変異はNGS群の48%、CCND1の増幅は31%に認められた。

 各遺伝子について、エベロリムスの効果を調べたところ、効果はPIK3CA遺伝子の状態及びPI3K経路の構成遺伝子の状態とは独立していた。CCND1、p53についても同様で、野生型でも変異型でもエベロリムスの効果は変わらなかった。FGFR1については野生型の患者と増幅した患者でPFSに差が認められ、FGFR1/2遺伝子が増幅した患者ではPFSが短かった。

 PIK3CA、CCND1、p53、FGFR1/2遺伝子について同時に調べたところ、4遺伝子に異常がない患者ではPFSの未調整ハザード比が0.31、調整ハザード比が0.24と良い結果が得られ、1つの変異がある患者では未調整ハザード比が0.30、調整ハザード比が0.26だった。一方、2つ以上の変異がある患者では未調整ハザード比0.71、調整ハザード比は0.78でエベロリムスの恩恵が少なかった。しかし、研究グループは2つ以上の変異がある患者はNGS群の24%に過ぎず、結論づけることはできないとした。