局所のHER2陽性乳癌に対する術前療法として、化学療法にトラスツズマブを加えることとHER2をニ重に抑制することは、乳房温存術の率こそ高めないが、無病生存期間(DFS)と、全生存期間(OS)の改善に関連するpCR(病理学的完全奏効)の率をどちらも高めることが明らかとなった。またHER2のニ重抑制は、エストロゲン受容体陽性患者に対して、化学療法の使用を少なくさせるか不要にする可能性があることも示された。広範囲の系統だった論文探索とメタアナリシスの結果、分かったもの。

 9月7日から9日までサンフランシスコで開催されたBreast Cancer Symposium 2013(ASCO BREAST)で、米 Massachusetts General HospitalのKerry Lynn Reynolds氏によって発表された。

 研究グループは、MEDLINE、EMBASEとCochrane Controlled Clinical Trials Registerデータベースから、解析に適合する臨床試験を探索した。適合基準は、前向き試験で少なくとも1つのHER2標的療法群を含み、pCRが報告された術前療法の試験とした。

 探索の結果、36試験が同定された(n=4130)。解析の結果、アントラサイクリンベースの化学療法、トラスツズマブ単剤、非アントラサイクリンベースHER2の2重抑制は、いずれも40%を超える高いpCR率を示していた。

 化学療法にトラスツズマブを加えることは乳房温存術率を改善することはできなかったが(RR=1.40、p=0.15)、pCR率を有意に上昇させていた(RR=1.91、p=0.0001)。同様にHER2の二重抑制は、 乳房温存術率を改善することはできなかったが(RR=1.03、p=0.84)、pCR率を有意に上昇させていた(RR=1.39、p<0.00001)。また二重抑制のpCR率は、グレード3/4の毒性を増やすことなく(RR=1.13、p=0.16)、エストロゲン受容体陽性群(RR=1.72、p=0.01)、陰性群(RR=1.91、 p=0.0001)のどちらでも向上していた。化学療法なしのHER2二重抑制は、少ない毒性(グレード3/4の毒性が1から5%)でpCRを達成できたサブグループがあった。

 pCR率が向上することはDFSの改善(RR=2.29、p=0.006)、OSの改善(RR=4.61、p = 0.009)と、有意に関連していた。