スイスRoche社は、2013年9月2日、欧州で、皮下注処方のトラスツズマブ(「ハーセプチン」)がHER2陽性乳癌を適応として承認を獲得したと発表した。

 皮下注処方の製品は、早期の患者にも進行した患者にも適用可能だ。これまで、トラスツズマブは30-90分かけて静脈内投与されてきたが、皮下注射処方になると、投与に要する時間は2-5分に短縮され、患者の時間的な負担は大きく減少する。病院に留まらなければならない時間が短くなることによって、家族や友人と過ごす時間が増えるなら、皮下注処方のトラスツズマブは乳癌患者の幸せに貢献できるだろうと同社は考えている。

 皮下注処方の開発には、米Halozyme Therapeutics社が開発したEnhanze技術が用いられた。トラスツズマブ皮下注には、賦形剤として組換えヒトヒアルロニダーゼ(rHuPH20)が添加されている。この酵素は皮下の細胞間に存在するヒアルロン酸を可逆的に破壊するため、同時に注射された薬剤や液体の吸収と分散が容易になる。これにより、液量が多くても痛みなしに注入することが可能になる。

 今回の承認は、HannaH試験で得られたデータに基づく。この試験はオープンラベルの無作為化フェーズIIIで、HER2陽性の早期乳癌女性596人を登録、静注処方または皮下注処方のトラスツズマブに割り付けて、術前には化学療法とともに、術後はトラスツズマブのみを投与し、薬物動態、有効性、安全性を比較したもの。得られた結果は、有効性における皮下注製品の非劣性を確認した。安全性にも差は無かった。結果の詳細は、Lancet Oncology誌に2012年に報告された。