転移性乳頭状腎癌の無進行生存期間は3.5カ月と非常に予後が悪く、分子標的薬の効果は必ずしも良好ではないが、長期生存例も認められることが示された。7月21日に東京・品川で開催された第44回腎癌研究会で、東京女子医科大学泌尿器科の力石浩介氏が発表した。

 転移性乳頭状腎癌は淡明細胞癌と比較して予後が悪いことが知られている。そこで同グループは、2008年3月から2012年10月まで同院を受診した転移性乳頭状腎癌12例を対象に、分子標的薬の有効性を検討した。

 対象は年齢中央値60歳(29-69歳)、男性が7例で、全例type2の乳頭状腎癌、初診時のMSKCCリスク分類でIntermediateリスクが9例、Poorリスクが3例。初診時T3症例が9例と最も多く、T4が1例、T1が1例だった。肺転移例が2例、肝転移例が4例、骨転移が1例、リンパ節転移例が4例、下大静脈腫瘍血栓が4例だった。「淡明細胞癌と比較して肝転移例が多い印象だった」(力石氏)。腎摘除術施行例は10例だった。

 同院の治療アルゴリズムでは、非淡明細胞癌(リスク分類は問わず)に対するファーストライン治療はテムシロリムスまたはスニチニブとしている。

 分子標的薬のファーストライン治療における効果について検討した結果、まず12例への治療は、ソラフェニブ投与例が4例、スニチニブ投与例が3例、テムシロリムス投与例が5例だった。いずれも病勢進行(PD)によりファーストライン治療を中止しており、ファーストライン治療の治療効果は変化なし(NC)が4例、PDが7例、部分奏効(PR)が1例だった。なお、薬剤の承認時期と治療開始時期から、2008年の症例はソラフェニブが選択されている。

 ファーストライン治療の無進行生存期間中央値は3.5カ月だった。

 12例のうち、逐次治療を行うことが出来たのは12例中8例で、うち2例がサードライン治療まで行った。現在生存しているのは3例で、1例はスニチニブ、テムシロリムス、スニチニブを逐次投与した症例、1例はテムシロリムス、スニチニブと逐次投与した症例、1例はテムシロリムスを投与した症例だった。生存期間中央値は11.8カ月だった。このうちスニチニブ、テムシロリムス、スニチニブと逐次投与した1例は長期生存が得られており、34.5カ月となっている。

 これらの結果から力石氏は、「転移性乳頭状腎癌の無進行生存期間は3.5カ月で、転移性淡明細胞癌で報告されている11カ月と比較して、非常に予後が不良だった。分子標的薬の効果は必ずしも良好ではないが、長期生存例も存在するため、治療の選択肢として重要だ。今後はアキシチニブやパゾパニブについても検討を進める必要がある」と指摘した。