小径腎癌に対するMRIガイド下凍結療法は、治療後の腎機能低下もなく、腫瘍の造影効果消失も92.9%に認められ、安全で有効であることが示された。7月21日に東京・品川で開催された第44回腎癌研究会で、東京慈恵会医科大学附属柏病院泌尿器科の坂東重浩氏が発表した。

 日本では2011年7月から小径腎癌に対する凍結療法が保険収載となった。同院では、小径腎癌に対する凍結療法の適応を、(1)腫瘍径4cm以下、(2)できれば外側突出型の腫瘍(埋没型の場合はMRIで腫瘍の確認が可能で腫瘍周囲に血管などがない場合可能)、(3)脳血管障害、心機能障害、呼吸器障害など重篤な合併症があり、手術リスクが高い症例、(4)患者が手術を希望しない場合、としている。また、凍結療法の適応とならない場合として、嚢胞性腎癌(穿刺時に播種を起こす危険があるため)、血管、尿管、脾、膵、腸管、横隔膜などと接している腫瘍(出血や他臓器損傷の危険があるため)、血液凝固障害を有する症例、腹水の貯留している症例、体位保持が困難な症例としている。

 今回、MRIガイド下での凍結療法を行った28例について報告した。

 経皮的凍結療法については、Galil Medical社のCRYO-HITを用い、モニター用MRIとして垂直磁場方式オープンMRIであるARIS IIを用いた。全例局所麻酔下で施行し、穿刺用プローブは17G cyroneedleを使用した。凍結15分、解凍5分を2回繰り返し、術中MRI画像において凍結療法を確認し、凍結範囲が不十分であれば凍結、解凍を追加するとした。

 対象は、2012年9月から2013年12月に同院を受診した患者28例(男性23例、女性5例)で、平均年齢は70歳(46〜87歳)、転移を認めない4cm以下の腎腫瘍28病変を治療した。腫瘍径は24.5mm±7.0mm(13-38mm)で、左腎16例、右腎12例、上極4例、中部16例、下極8例で、腫瘍形態は突出型24例、埋没型4例だった。

 穿刺本数は2.9本±0.8(1-5本)、治療時間は35.6分±15.5(29-104分)。平均観察期間は8.5カ月(1-16カ月)だった。

 治療効果は、腫瘍の造影効果が消失した症例は28例中26例(92.9%)。治療後2例で腫瘍の造影効果を認めたが、1例については術後に生検を行って悪性所見がないことが確認された。

 腎機能評価については、治療前と治療後(3〜6カ月)の血清Cr値、eGFRを評価したところ、慢性腎不全例1例を除いた27例において、血清Cr値は治療前は1.02±0.28mg/dL、治療後は1.06±0.3mg/dLで有意な変化は認められなかった(p=0.06)。eGFRは治療前58.7±17.1mL/min/1.73m2、治療後は56.2±15.3mL/min/1.73m2で、こちらも有意な差は認められなかった(p=0.06)。

 単腎もしくは機能的単腎症例6例について解析した結果、血清Cr値は治療前1.24±0.43mg/dL、治療後1.33±0.46mg/dL(p=0.054)、eGFRは治療前47.8±19.7mL/min/1.73m2、治療後43.7±16.8mL/min/1.73m2(p=0.058)で、腎機能が若干低下する傾向にあったが、統計学的には有意な差ではなかった。

 合併症については、28例中1例(3.6%)にグレード2の凍結治療後出血が認められた。70歳代男性、左腎上極にある32mmの腫瘍に対し3本穿刺し、凍結治療したが、治療後出血を認めたことからTAEを施行したところ、術後問題なく経過している。

 これらの結果から坂東氏は、経皮的凍結療法は安全に行うことが出来ており、治療効果も良好だ。治療後造影効果を示し、腫瘍残存が疑われる症例でも残存率は低いという報告があるが、我々の検討でも、腫瘍残存が疑われた症例でも腎生検で悪性所見は認められなかった」とし、「今後、腫瘍残存が疑われる症例に対して積極的に腎生検を行って病理学的評価を行っていく」と語った。