根治治療後のHCV陽性肝細胞癌患者に対するペレチノイン(NIK-333)2年間投与の有効性を評価したフェーズ2/3試験の長期追跡の結果から、Child-Pugh A患者において、プラセボに対しペレチノイン投与は全生存期間(OS)を有意に改善することが示された。さらに、根治が得られていなかった症例などを除いて検討した結果、プラセボ群に対して有意に生存期間を延長したことから、ペレチノインは2次発癌の予防により肝細胞癌の再発を抑制していることが示唆された。7月11日から東京・新宿で開催された第49回日本肝癌研究会で、下関厚生病院名誉院長の沖田極氏が発表した。

 ペレチノインは、これまでの検討で、分化誘導、アポトーシスを誘導すること、レチノイドX受容体α(RXRα)のリン酸化を阻害し、受容体の機能を回復させることなどが知られており、動物実験ではマウスの化学発癌モデルで発癌を抑制することが示されている。そのため、多中心性発癌の根拠である根治治療後の肝臓に存在する前癌病変の抑制をすることで再発を抑制できると期待されていた。

 そこで取り組まれたのが、2005年3月から2007年3月まで国内41施設を受診した患者を対象にした国内フェーズ2/3試験で、根治治療後のHCV陽性肝細胞癌患者を対象に、ペレチノイン600mg/日を最大2年間投与する群(134例)とペレチノイン300mg/日を最大2年間投与する群(134例)、プラセボを投与する群(133例)に割り付けて無再発率を評価した。

 追跡期間中央値2.5年の結果、全被検者を対象とした検討では3群間に有意な差は認められなかったが(Okita et al, ASCO2010 abstract 4024)、Child-Pugh Aの患者のみを対象に検討したところ、プラセボ群の1年、2年、3年無再発生存率はそれぞれ64.2%、38.2%、28.8%だったのに対し、600mg群ではそれぞれ74.4%、52.6%、47.4%と、再発を抑制することが示されていた(Okusaka et al, ASCO-GI2011 abstract 165)。

 今回、このフェーズ2/3試験終了後、さらに3年間追跡した医師主導調査研究結果を発表した。

 この調査研究結果の主要評価項目は、全生存期間(OS)で、登録からあらゆる原因による死亡までの期間と定義した。解析対象は、600mg/日投与群が132例、プラセボ群が129例。

 追跡の結果、600mg/日投与群とプラセボ群の間で、追跡期間が長くなるほどOSの差が開く傾向にあったが、統計学的には有意な差ではなかった。

 次にChild-Pugh Aだった患者のみを対象にOSを比較した結果、600mg/日投与群(105例)はプラセボ群(108例)に対して有意にOSを延長していた(ハザード比0.575 95%信頼区間0.341-0.967、p=0.0347)。

 これらの結果から沖田氏は、ペレチノイン600mg/日最大2年間投与による5年生存率は、プラセボ群の5年生存率に比べて高く、Child-Pugh A患者においては有意に生存期間を延長したとまとめた。

 さらに、詳細なデータは明らかにはしていないが、未根治だった症例や画像評価データがなかった症例(登録患者401例のうち計15例)を除いて検討した結果、600mg/日投与群はプラセボ群に対して、全体でもChild-Pugh A症例に限っても有意にOSを延長していた。このことから沖田氏は、ペレチノインは2次発癌を予防することで肝細胞癌の再発を抑制することが強く示唆されると指摘した。