スイスRoche社は、2013年7月2日、米食品医薬品局(FDA)がペルツズマブに関する追加生物製剤承認申請(sBLA)を受理し、優先審査の適用を決めたと発表した。判断は2013年10月31日までに下ることになった。

 米国では2012年に、HER2陽性の転移性乳癌患者にトラスツズマブ、化学療法と共にペルツズマブを用いることが認められている。今回のsBLAが承認されれば、HER2陽性の早期乳癌患者に対する術前補助療法にもペルツズマブが利用できるようになる。

 術前補助療法は、腫瘍の縮小を誘導し切除を容易にする、または乳房温存療法の選択を可能にする目的で行われる。

 sBLAは、いずれもHER2陽性の早期乳癌女性を登録したフェーズ2試験であるNEOSPHEREとTRYPHAENAで得られた好結果と、HER2陽性の転移性乳癌患者を登録したフェーズ3 CLEOPATRA試験のデータが示した長期的な安全性に基づいている。

 国際的な無作為化試験NEOSPHEREは、診断から間もない局所進行型乳癌、炎症性乳癌または早期乳癌で、HER2陽性であることが確認された患者を登録し、4とおりのレジメン(トラスツズマブ+ドセタキセル、ペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル、ペルツズマブ+トラスツズマブ、ペルツズマブ+ドセタキセル)に割り付けて4サイクル(12週間)の術前補助療法を実施した。

 主要評価指標に設定されたpCR(病理学的完全奏効:手術の時点で検出可能な腫瘍が見つからない)を達成した患者の割合は、トラスツズマブ+ドセタキセル群が39.0%、ペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル群が45.8%、ペルツズマブ+トラスツズマブ群は16.8%、ペルツズマブ+ドセタキセル群は24.0%で、トラスツズマブ+ドセタキセルの2剤併用に比べ、ペルツズマブを追加すると、pCR達成率が有意に上昇することが明らかになった(p=0.014)。3剤併用群のpCR率は、どのグループとの比較においても有意に高かった。

 3剤併用が有害事象の発生率や心毒性を上昇させることは無く、最も多く見られた有害事象は、好中球減少症、発熱性好中球減少症、下痢だった。

 TRYPHAENAも多施設無作為化試験で、HER2陽性の局所進行型乳癌、炎症性乳癌または早期乳癌の患者225人を登録、トラスツズマブ+ペルツズマブ+アントラサイクリン系化学療法薬を3サイクル投与後、4-6サイクルにはペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセルを投与(レジメンA)、アントラサイクリン系化学療法薬を3サイクル投与後、4-6サイクルにはペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセルを投与(レジメンB)、ペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル+カルボプラチンを6サイクル投与(レジメンC)に割り付けた。

 主要評価指標は心臓に対する安全性に、2次評価指標はpCRなどに設定されていた。

 新たな、または予期せぬ心臓への有害事象はどのグループにも見られなかった。他の有害事象の発生率もこれまでに報告されていたと同様だった。pCR達成率は、レジメンAが61.6%、レジメンBは57.3%、レジメンCは66.2%だった。

 ペルツズマブは、HER2受容体と他のHER受容体(EGFR/HER1、HER3、HER4)との二量体形成を特異的に阻害する抗体医薬。トラスツズマブもHer2を標的とする抗体製剤だが、ペルツズマブとは結合部位が異なることから、これら2剤は補完的な作用を持つと考えられている。

 日本では6月28日、「HER2陽性の手術不能または再発乳癌」の適応で承認された。