高度催吐性化学療法に対する3剤併用制吐療法におけるパロノセトロングラニセトロンを比較したフェーズ3試験(TRIPLE試験)の結果、0〜120時間における嘔吐完全抑制率 (CR 率:嘔吐/空嘔吐なし及び追加制吐治療なし)に統計学的に有意な差は認められなかったが、パロノセトロンはグラニセトロンに比べて24〜120時間におけるCR率が有意に高いことが示された。6月27日からベルリンで開催されたMultinational Association of Supportive Care In Caner(MASCC)/International Society of Oral Oncology(ISOO)の国際合同シンポジウム2013で、国立がん研究センター生物統計学の山中竹春氏が発表した。

 MASCC/ESMOやASCOのガイドラインでは、高度催吐性化学療法に対する標準制吐療法は5-HT3受容体拮抗薬、デキサメタゾン、アプレピタントの3剤併用療法となっている。5-HT3受容体拮抗薬のうち、グラニセトロンは第1世代、パロノセトロンは第2世代の薬剤で、パロノセトロンは5-HT3受容体に対する拮抗作用が高く、血中半減期がより長いことが知られている。

 TRIPLE試験は、50mg/m2以上のシスプラチンを含む高度催吐性化学療法を行った842例を対象に、パロノセトロン(0.75mg、day1)+アプレピタント(125mg day1、80mg day2-3)+デキサメタゾン(9.9mg day1、6.6mg day2-4)の3剤を投与するパロノセトロン群と、グラニセトロン(1mg day1)+アプレピタント(125mg day1、80mg day2-3)+デキサメタゾン(9.9mg day1、6.6mg day2-4)の3剤を投与するグラニセトロン群に割り付け、有効性を検討した。多施設共同二重盲検ランダム化フェーズ3試験として行われ、2011年7月から2012年6月までに国内20施設を受診した患者を対象とした。

 主要評価項目は0〜120時間における全期CR 率とし、副次評価項目は0〜24時間の急性期CR 率、24〜120時間の遅発期CR 率、完全制御率 (CC 率:嘔吐/空嘔吐なし及び追加制吐治療なし及び中等度以上の悪心なし)、総制御率(TC 率:嘔吐/空嘔吐なし及び追加制吐治療なし及び悪心なし)、治療成功期間、治療関連有害事象などとした。

 有効性を検討したのは、パロノセトロン群414例、グラニセトロン群413例。患者背景は両群間で均等に分布し、年齢中央値は約63歳、男性が約75%、ECOG PSが0だったのは約67%、1だったのが30%強。癌種では非小細胞肺癌が最も多く50%弱。小細胞肺癌、食道癌、胃癌がそれぞれ13〜14%、頭頸部癌が6%だった。シスプラチンの用量(中央値)は76mg/m2だった。

 全期CR 率は、パロノセトロン群65.7%、グラニセトロン群59.1%で、パロノセトロン群で良好な傾向が認められたが、統計学的に有意な差ではなかった(p=0.0539)。

 急性期CR 率はパロノセトロン群91.8%、グラニセトロン群91.8%で、2群間で同一であった。遅発期CR 率はパロノセトロン群67.2%、グラニセトロン群59.1%で、有意にパロノセトロン群で良好だった(p=0.0142)。

 全期CC率はパロノセトロン群63.8%、グラニセトロン群55.9%(p=0.0234)、全期TC率についてもパロノセトロン群47.6%、グラニセトロン群40.7%(p=0.0369)で、パロノセトロン群で有意に良好だった。

 遅発期CC率は、パロノセトロン群65.2%、グラニセトロン群55.9%(p=0.0053)、遅発期TC率もパロノセトロン群48.6%、グラニセトロン群41.4%(p=0.0369)であった。

 全期CR 率に関するサブグループ解析では、年齢、性、シスプラチン用量、PS、癌種のそれぞれについて、パロノセトロン群で良好な傾向が認められた。

 治療関連有害事象については、2群間で差は認められなかった。2群ともグレード1の便秘が28-30%、グレード2の便秘が20-22%、グレード3の便秘が1.5-1.7%だった。グレード1の吃逆が5.6-7.0%、グレード1のALT上昇が9.9%などだった。

 これらの結果から山中氏は、「TRIPLE試験は高度催吐性化学療法による悪心嘔吐の予防のための3剤併用療法において、5-HT3受容体拮抗薬2剤を比較した初めてのフェーズ3試験だ。主要評価項目は達成されなかったが、特に遅発期に対し、パロノセトロンはグラニセトロンに比べて有効性が示された」と締めくくった。