第39回がん対策推進協議会が6月19日、東京・平河町で開かれ、会長に門田守人・がん研有明病院長が再任された。門田会長は家族が2か月前にがんと診断されたと明かし、「これまでは医療者としての立場のみだったが家族という視点も加えて参加したい。昨年6月から第2期のがん対策推進基本計画(以下、基本計画)が始まっているが、ある程度第1期の数値目標は達成したものの、質をどう担保するのかという課題が残ったままだ。がんになっても安心して暮らせる社会をどうやって構築するのか、指標を作成しながら中間評価をまとめなければならず、我々の責務は大きい。次の計画を見据え幅広いテーマを検討していきたい」と抱負を語った。

 この日の協議会から、20人の委員のうち12人が入れ替わり、新たな顔ぶれで2015年6月の中間評価に向けてスタートを切った。患者関係委員には、小児がん関連の患者会の代表として静岡県立こども病院血液腫瘍科親の会「ほほえみの会」代表の池田恵一氏ら5人が新たに就任した。企業でがん患者の就労支援を行っている足利銀行人事部業務役の湯澤洋美氏も加わり、2期目の基本計画に新たな重点施策として入った「働く世代や小児へのがん対策の充実」が当事者の意見を反映した形で具体的に進むことが期待される。

 同協議会では、国会がん患者と家族の会が、全国のがん登録情報を一元化するために次期臨時国会に提出予定の「がん登録法案」の骨子案について議論する。「罹患率や5年生存率といった情報に切れ目ができないように、既存の地域がん登録、臓器がん登録との連携を進めてほしい」「各病院の得意分野が分かったり、セカンドオピニオンを受けたいと考えている病院の情報が得られたり、医療者とのコミュニケーションツールになるような形で、患者・家族にもがん登録の情報を還元していただきたい」「情報を患者・国民が使えるようにしていかないと、国民が受け入れやすいものにはならないのではないか」と、患者・家族へがん登録情報還元を求める声が相次いだ。

 第2期基本計画の中間評価については、全体目標の「がん患者・家族のQOL(生活の質)向上」、「安心して暮らせる社会の構築」の進捗状況を測る指標として、まずは10カ所程度のがん診療連携拠点病院でQOL関連のパイロット調査が実施されることが前回の協議会で決定している。しかし、再任の委員を含め、「QOLが特に問題になるのは再発してからだが、質問項目を見る限り、再発後の患者さんのQOLを分析できるような内容になっていない」「在宅医療の視点があまりにも乏しい」と修正を求める声が相次ぎ議論が紛糾。調査を実施する研究班と調整がはかられることになった。

 来年度からの「第4次対がん10カ年総合戦略」スタートに向けて厚生労働省の検討会が作成した「今後のがん研究のあり方について(報告書案・暫定版)」に対しても協議され、患者関係委員から次のような要望が出た。「抗がん剤など治療に伴う副作用を軽減、緩和するための研究についてもぜひ、『ライフステージや個々の特性に着目した重点研究領域』に入れてほしい」「高齢者に対するがん治療は担当する医師によってばらばらなので、高齢者治療ガイドラインの確立を視野に入れた研究を進めてほしい」などだ。

 最後に、厚労省がん対策・健康増進課の担当者が、5月に閣議決定された今年度予算のうち、がん対策予算の概要を説明した。財政状況が厳しいのはがん対策予算も例外ではなく、昨年より40億円減の235億円。新規事業として、がん患者の口腔ケアを進める「医科歯科連携事業」(1000万円)、都道府県に1カ所の緩和ケアセンターの開設など「がん診療連携推進拠点病院緩和ケア推進事業」(1億円)、「小児がんセンター(仮称)基盤整備事業」(5000万円)、「拠点病院におけるがん患者の就労に関する総合支援事業」(1.8億円)が盛り込まれている。