スイスNovartis社は2013年6月16日、フェーズ3 COMFORT-II試験の3年時のデータを分析したところ、経口型JAK1/JAK2阻害薬ruxolitinib(「Jakavi」)は、現行の治療に比べ骨髄線維症患者の生存率を上昇させるとともに、脾臓のサイズを減少させることが明らかになったと発表した。結果の詳細は、スウェーデンで開催された欧州血液学会(EHA)で、イタリアFlorence大学のAlessandro M. Vannucchi氏によって報告された。

 骨髄線維症の発症にはJAK経路の異常な活性化がかかわる。JAK経路は血液細胞の増殖を制御しているが、この疾患の患者においては、適切に機能しない血液細胞の産生を引き起こし、骨髄不全を誘導、脾腫その他の深刻な症状をもたらす。ruxolitinibは、JAKが変異型か野生型か、疾患のタイプ、先に受けた治療などにかかわらず効果を発揮し、患者の脾臓の大きさを減じ、症状を軽減することが知られている。

 フェーズ3試験は計219名の進行骨髄線維症患者を登録、ruxolitinib(146人)と現行の治療(73人)に割り付けていた。3年時には対照群の患者は全員が治療を中止しており、それらのうちの61.6%はruxolitinibを使用していた。

 カプランマイヤー法を用いて推定した144週時の推定生存率は81%と61%で、ruxolitinib群では死亡リスクが52%低下していた。(ハザード比0.48、95%信頼区間:0.28-0.85、p=0.009)。進行した骨髄線維症患者に対する生存利益が示された治療薬はこれが初めてだ。

 加えて、ruxolitinib群の患者の51.4%で、ベースラインに比べ脾臓のサイズが35%以上縮小していた。この状態がいつまで持続するかについて追跡が行われているが、いまだ中央値は得られていないという。

 3年後でも患者の忍容性は高かった。有害事象はこれまでに行われた臨床試験で見られたものと同様で、ruxolitinib群に多かった血液学的有害事象は、貧血(50.0%と16.4%)、血小板減少症(50.7%と13.7%)、最も多く見られた非血液学的有害事象は、腕の浮腫(36.3%と28.8%)、続いて下痢(32.2%と17.8%)、倦怠感(24.0%と12.3%)などだった。

 Novartis社によると、別のフェーズ1/2試験に参加した患者の4年時の骨髄の形態学的変化をベースラインと比較した長期にわたる予備的な分析の結果は、ruxolitinibが骨髄の線維化を止める、または遅らせる作用を持つことを示したという。22%の患者において骨髄の線維化が改善、56%には線維化の進行が見られなかった。既存の治療薬には進行骨髄線維症患者の骨髄の線維化を抑制する効果を持つものは存在しない。骨髄移植は骨髄の線維化にも影響を与えうるが、死亡と合併症のリスクは高い。今回得られた結果は、ruxolitinibが、骨髄線維症の自然経過を変えられる薬剤であることを示唆した。