中外製薬は6月14日、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組み換え、製品名:アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL)について、厚生労働省から「悪性神経膠腫」に対する効能・効果、用法・用量追加の製造販売承認を取得したと発表した。初発の悪性神経膠腫(グレード3、4)を含む適応の取得は世界で初めてとなる。

 同剤はこれまでに、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「手術不能または再発乳癌」の効能・効果を取得している。

 悪性神経膠腫に対するベバシズマブの適応状況としては、世界67カ国で「再発の膠芽腫(グレード4)」で適応を取得している。そのため、初発の悪性神経膠腫を含む適応の取得は世界初となる。

 用法・用量は、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を2週間間隔または1回15mg/kg(体重)を3週間間隔で、点滴静脈内注射する。なお、患者の状態により投与間隔は適宜延長する。

 今回の承認の基となったデータは3つで、テモゾロミドおよび放射線療法施行後に再発した膠芽腫を対象にした米国フェーズ2の「BRAIN試験」、再発の悪性神経膠腫へのベバジスマブ単剤投与を検討した国内フェーズ2の「JO22506試験」、初発の膠芽腫を対象に放射線照射とテモゾロミドによる標準療法にベバシズマブを併用した国際共同の無作為化プラセボ対照比較のフェーズ3の「AVAglio試験」。

 JO22506試験では、投与6カ月時点の無増悪生存(PFS)率は33.9%、奏効率は27.6%だった。また、フェーズ3のAVAglio試験では、ベバシズマブ投与群のPFS中央値は10.6カ月で、対照群の6.2カ月と比べて有意に延長した(ハザード比0.64、95%信頼区間:0.55-0.74、p<0.0001)。全生存期間(OS)中央値はそれぞれ16.8カ月、16.7カ月で有意差は認められなかった(ハザード比0.88、95%信頼区間:0.76-1.02、p=0.0987)

 製造販売承認申請時の適応は「再発の悪性神経膠腫」としていたが、その後に厚生労働省から初発の膠芽腫患者を対象にした試験データを求められ、AVAglio試験のデータを提出。申請の基となった3つの試験に、初発のグレード3の悪性神経膠腫患者を対象にした試験は含まれていないが、AVAglio試験の結果からグレード3を含む初発の悪性神経膠腫への適応も認められた結果となる。

 「AVAglio試験の対象はグレード4である膠芽腫が対象だが、この中にグレード3の患者が含まれている可能性があること、安全性が確認されたこと、さらには初発の悪性神経膠腫への治療選択肢が少ないことが考慮されたのではないか」と中外製薬広報IR部はコメントしている。

 世界における初発の悪性神経膠腫への効能・効果追加については、「欧州では申請中で、米国では申請を検討している段階」(中外製薬広報IR部)だ。