米国泌尿器科学会(AUA)は 5月3日、前立腺癌の早期発見に関する新しい臨床ガイドラインを公表した。新ガイドラインでは、前立腺癌を疑う症状のある男性や、家族歴があるなど前立腺癌の高リスクの男性を除き、40-54歳の男性においては定期的なPSAスクリーニングは推奨していない。一方、55〜69歳の男性に対しては2年ごとのスクリーニングを勧めている。

 AUAによれば、AUAは現在すべての男性において前立腺癌検診を推奨しない立場をとっていると誤った解釈がなされているという。そのためAUAの2009年のガイドラインと比べ、今回のガイドラインでは、PSAスクリーニングの推奨は平均的な前立腺癌リスク(average risk)の男性に対するものであり、スクリーニングに関する包括的な声明をしたわけではないと強調している。
 
 ガイドラインは、前立腺癌を疑う症状のある男性や前立腺癌の高リスクの男性(家族歴をもつ、またはアフリカ系アメリカ人の男性)を除く、平均的なリスクの男性に向けたものであり、高リスクの男性の場合は年齢に関係なく、個々に医師と相談することが推奨されている。

 こうしたガイドラインの変更は、昨今のスクリーニングに関する新しい研究によるもの。平均リスクで40-54歳の男性においては、スクリーニングの利益に関するエビデンスは限られており、有害性に関するエビデンスの質や強さが高いため、現時点では、この年代における定期的なスクリーニングを支持するエビデンスは不十分であるとした。

 一方、55〜69歳の男性においては、質の高いエビデンスとして、スクリーニングによる前立腺癌死亡率の低下が認められている。これは2〜4年の間隔でスクリーニングを受けた1000人につき1人の男性が10年にわたって前立腺癌死を防ぐことを示しており、その利益は生涯にわたって非常に大きいとした。

 このため55-69歳の男性に対し、ガイドラインはスクリーニングを強く推薦する。ただし、過剰診断や偽陽性といったスクリーニングによる潜在的有害性を減らすため、今回のガイドラインでは、2年ごとのスクリーニングを勧めている。

 そのほか、70歳以上で、余命が10年未満の人では、定期的なスクリーニングは推薦されていない。しかし70歳以上でも健康な男性ではスクリーニングによる利益を得る可能性もあるとしている。

 2011年10月に米国予防医学作業部会(US Preventive Services Task Force)は、前立腺癌の症状がない男性において、年齢を問わず、PSAを用いた前立腺癌検診は行わないよう勧めている。この勧告に対してAUAは現在も同意しないとし、前立腺癌の検査を受ける男性の権利を支持し続けるとした。