5月7日、米国放射線腫瘍学会(ASTRO:American Society for Radiation Oncology)と米国泌尿器科学会(AUA:American Urological Association)が、共同で作成した前立腺全摘除術後の放射線療法ガイドラインの公開を発表した。

 「The Adjuvant and Salvage Radiotherapy After Prostatectomy(前立腺切除術後の術後/サルベージ放射線療法)ASTRO/AUAガイドライン」(全81ページ)は、1990年1月1日から2012年12月15日までの間にPubmed、Embase、コクランデータベースに掲載された英語の研究論文324本をレビューしたもの。

 策定にあたっては再発エビデンスの有無を考慮し、エビデンスおよびコンセンサスベースの診療方針や治療アプローチが記載されている。

 ASTRO/AUAガイドラインでは、前立腺特異的抗原(PSA)値が検出可能または検出不能な症例の双方で、放射線治療の効果、毒性、QOLへの影響を詳述した。また、再発が疑われる症例に対する放射線療法適用の妥当性を判断するのに最適な画像検査法なども提供している。

 ガイドラインに記載された臨床上の基本方針または推奨事項の一部は次のとおり。

1)限局性前立腺癌のマネジメントを検討中の症例において根治的前立腺全摘除術を施行する場合、病理所見により癌再発のハイリスク群に分類される可能性があることを患者に伝えるべきである。

2)精巣浸潤や切除縁陽性、皮膜外浸潤といった予後不良と考えられる病理所見を有する症例では、根治的前立腺全摘除術後に放射線療法を追加することで、癌の生化学的(PSA)再発、局所再発、臨床的進行をきたすリスクが低下することを患者に伝えるべきである。

3)精巣浸潤や切除縁陽性、皮膜外浸潤などの予後不良と考えられる病理所見のある患者には、医師は、前立腺全摘除術を施行する際に術後放射線療法についても提案すべきである。なぜなら、癌の生化学的(PSA)再発、局所再発、臨床的進行のリスクが低下することが示されているからである。

4)術後PSA再発をきたした症例は、転移リスクの上昇および前立腺癌による死亡リスクの上昇と関連があることを患者に知らせるべきである。

5)医師は、術後の生化学的再発およびPSA値上昇を≧0.2ng/mL、2回目の確認値を≧0.2ng/mLと定義すべきである。

6)PSA再発患者は再病期診断を検討すべきかもしれない。

7)根治的前立腺全摘除術を施行した遠隔転移のない症例で、PSA再発または局所再発が確認された場合、医師はサルベージ放射線療法を提案すべきである。

8)PSA再発症例に対する放射線療法は、PSAが低値であるほど高い効果が得られることを患者に知らせるべきである。

9)再発のコントロールに優れるという利益の可能性がある一方で、放射線療法には排尿、排便、性機能などに短期/長期的な副作用が伴う可能性があることも患者に知らせるべきである。

 ガイドライン策定には、ASTROからはRichard K. Valicenti教授(professor and chair of the department of radiation oncology at the University of California Davis Comprehensive Cancer Center)、そしてAUAからはIan M. Thompson氏(director of the Cancer Therapy and Research Center at the University of Texas Health Science Center at San Antonio and the Glenda and Gary Woods Distinguished Chair in genitourinary oncology)が筆頭に、泌尿器科領域と放射線治療の専門家らが参加した。

 オンライン版(PDF)は、www.redjournal.org および www.auanet.orgで無料公開される。印刷版では、ASTRO学会誌International Journal of Radiation Oncology・Biology・Physics (別称:レッド・ジャーナル)2013年8月1日号、およびAUA学会誌Journal of Urology8月号に掲載予定。