エストロゲン受容体(ER)陽性、転移性の閉経後乳癌患者を対象に、選択的アンドロゲン受容体調節剤(SARM)であるenobosarm(GTx-024)のフェーズ2試験の開始を、5月1日、米GTx社が発表した。ER陽性乳癌の新たな治療アプローチとしてSARMの臨床的有用性を評価する。

 ER陽性乳癌と診断された閉経後の患者では、一般的に術後補助療法としてタモキシフェンやアロマターゼ阻害剤によるホルモン療法が施行される。

 ホルモン療法の施行にもかかわらず進行した症例に対して、男性ホルモンであるアンドロゲン投与による治療効果がこれまで研究で示されているが、顔毛や体毛の増加、声の変化、挫創、浮腫など、男性化による副作用が患者に敬遠されていた。

 EnobosarmはSARMという薬剤の1つで、アンドロゲンの効果を減弱させずに男性化による副作用を最小限に抑えると期待されている。有用性が証明されれば、ER陽性乳癌において画期的な標的ホルモン療法となる可能性がある。

 今回の非盲検、フェーズ2、proof-of-concept臨床試験は、米国の約6施設においてホルモン療法に奏効しなくなったER陽性、転移性乳癌の閉経後患者20人を登録する予定。治療は、enobosarm(9mg/日)を336日間もしくは病勢進行が確認されるまで投与する。

 主要評価項目は6カ月時点での臨床的有用性とし、完全奏効(CR:全標的病変の消失)、部分奏効(PR:標的病変の径和が30%以上縮小)および安定(SD:ベースラインから病勢進行なし)の割合を評価する。

 ER陽性乳癌のうちの70-95%、転移性病変では72-84%でアンドロゲン受容体(AR)の発現が確認されており、さらに、アンドロゲンが乳癌の増殖を抑制することもこれまでの前臨床/臨床試験で確認されている。

 特にタモキシフェンに奏効した後に増悪した転移性乳癌は、フルオキシメステロン、メドロキシプロゲステロン、ダナゾールなどの非選択的アンドロゲンによく奏効し、その全奏効率は20-60%だった。