オーストラリアに本社を置くSirtex Medical社は、2013年4月13日、切除不能な肝転移がある500人を超える大腸癌患者に、イットリウム-90(90Y)で標識したマイクロスフィア「SIR-Spheres」を、第1選択として標準治療と共に用いる大規模無作為化試験SIRFLOX試験の患者登録を完了したと発表した。

 患者登録は、世界の100を超える病院で約6年かけて行われた。予備的な結果は2014年末に得られる見込みだ。

 SIR-Sheres マイクロスフィアは、Sirtex社が肝臓癌を対象に開発しているSIRT(Selective Internal Radiation Therapy:選択的内部放射線療法)だ。SIRTは放射線塞栓療法(radioembolization)としても知られている。

 SIR-Sheresマイクロスフィアは、切除不能な肝臓癌患者に対して、冠動脈まで通したカテーテルを介して直接、腫瘍に送達される。腫瘍の領域でのみ通常の放射線治療の最大40倍の線量を内部照射できるこの治療の概要は、以下の通り。

 肝臓の正常細胞は、必要な血液の最大90%の供給を門脈から受けている。一方、肝臓癌は最大90%の血液を冠動脈から得ている。従って、冠動脈を通じてマイクロスフィアを送達すれば、正常細胞に対する悪影響を小さく抑えられる。

 送達時には、消化管方向への流入を防ぐために胃十二指腸動脈をカテーテルで一次的にふさぎ、冠動脈に挿入したカテーテルの先からマイクロスフィアを血流に放出する。これにより、マイクロスフィアのほとんどが腫瘍に向かう。

 SIRTで用いられるマイクロスフィアのサイズの平均は32.5μm(レンジは20-60μm)で、腫瘍の毛細血管の内径よりやや大きいため、毛細血管の先で次々と詰まって腫瘍組織に集積する。放射性物質イットリウム90から放射されるβ線の飛程は平均2.5mmと短く、照射範囲は腫瘍内にほぼ限定される。

 イットリウム90の半減期は64.1時間であることから、11日後には放射活性の94%が患者の肝臓から検出できなくなる。

 この製品については、複数の小規模な試験で、大腸癌の肝転移に対する安全性と有効性が示されていた。奏効率は他の治療より高く、生存期間の延長、無増悪生存期間の延長、QOLの改善が見られている。また化学療法単独の場合に比べの腫瘍の縮小率は大きかったという。
 
 SIR-Spheresマイクロスフィアは、豪州、米国、欧州、アルゼンチンで大腸癌の肝転移に対する適応承認を得ている。また、香港、マレーシア、シンガポール、タイ、台湾、インド、イスラエル、トルコなどの国にも提供されている。