汎クラス1PI3K阻害剤のBAY80-6946が、日本人の固形癌患者で有用な可能性が明らかとなった。進行固形癌を対象にしたフェーズ1試験の結果、安全性が確認され、一部で抗腫瘍効果が認められた。2013年4月6日から10日までワシントンで開催されているAmerican Association for Cancer Reserach(AACR2013)で、国立がん研究センター東病院の土井俊彦氏によって発表された。

 BAY80-6946は他の薬剤に比べて、副作用の管理がしやすいという。日本も含めて他剤との併用でフェーズ2試験が行われる予定だ。

 フェーズ1試験は、BAY80-6946を進行固形癌患者10人に4週間おきに週1回で3週、1時間かけて静注することで行われた。投与量は0.4mg/kg(3人)、0.8mg/kg(7人)だった。0.8mg/kgは米国で行われたフェーズ1試験での最大耐量(MTD)だった。投薬は病勢が進行するか、受容不能な副作用が発生するまで継続された。試験に参加した患者は、大腸癌が4人、非小細胞肺癌が2人、腎癌、膵癌、消化管間質腫瘍(GIST)、膀胱癌がそれぞれ1人だった。

 試験の結果、1サイクル目で安全性の評価が行われ、両群ともに用量制限毒性(DLT)は見出されなかった。

 BAY80-6946に関連した副作用として予測された高血糖、高血圧が認められたが、適切な薬剤投与で容易に管理できた。最も多く見られた副作用は高血糖(8人)で、次いで高血圧(7人)、便秘(5人)だった。コホート2の3人で重篤な副作用(グレード2の失神寸前状態とグレード3の下痢、グレード3の肝機能不全、グレード3の脳卒中)が認められた。コホート2の1人で非血液学的な用量制限毒性(グレード3の下痢)が見られたが、薬剤中止で回復した。グレード3、4の副作用はコホート1で1人(ALP上昇)、コホート2で5人で認められた。グレード3は貧血が最も多く、グレード4はAST上昇だけだった。

 4人の患者で病勢安定が得られた。コホート2のGIST患者は既にイマチニブ、スニチニブの投薬を受けても進行した患者だったが、5サイクル目の終わりまで病勢安定が得られた。しかし、薬剤関連血小板減少症のため、中止となった。4人の増悪までの時間(TTP)は176日、82日、77日、50日だった。

 薬物動態は西洋人で認められたものと同様だった。