経口MEK阻害剤BAY86-9766は、日本人の進行固形癌に有用である可能性が明らかとなった。進行難治固形癌を対象にしたフェーズ1試験の結果、忍容性と一部の患者で抗腫瘍効果が示されたもの。2013年4月6日から10日までワシントンで開催されているAmerican Association for Cancer Reserach(AACR2013)で、国立がん研究センター東病院の土井俊彦氏によって発表された。

 BAY86-9766は他のMEK阻害剤に比べて、副作用が少ないのが特徴。そのため他の抗癌剤との併用が期待できる。現在、日中韓でゲムシタビンとの併用でフェーズ1試験が行われているほか、ゲムシタビンとの併用で膵癌対象のグローバルフェーズ3試験とソラフェニブとの併用で肝癌対象のグローバルフェーズ2試験が開始される予定だ。また、新規PI3K阻害剤であるBAY-6946と併用するフェーズ1試験も行われている。

 フェーズ1試験は、進行固形癌患者を対象に、28日間を1サイクルとして、BAY86-9766の30mgを1日2回投与する群(コホート1)と50mgを1日2回投与する群(コホート2)に分けて、病勢が進行するか受容不能な毒性が出現するまで継続して投与された。

 フェーズ1試験では12人の患者が投薬を受けた。5人の患者がコホート1、7人がコホート2に割り付けられた。

 コホート1、2ともに1サイクル目での用量制限毒性(DLT)は認められなかった。全患者で治療関連副作用が認められた。重篤な副作用を起こしたのは3人(血小板減少症、胆管狭窄、CPK上昇)だった。

 それぞれのコホートで1人ずつが副作用のために投薬中止となった。グレードに関わらず最も多く認められた副作用は座瘡状皮疹で、全員に見られた。その他はAST上昇(9人)、CPK上昇(9人)、低アルブミン血症(9人)、発熱(7人)、ALP上昇(7人)、ALT上昇(6人)、血小板数減少(6人)だった。

 コホート2では全員にCPK上昇が認められ、うち4人はグレード3以上だった。しかしいずれも臨床的に有意なものではなく、DLTとは認められなかった。3人は薬剤中断または減量後の有害反応の軽減が認められ再投与となり、2人は筋関連症状(頸痛、下肢の筋力低下)が認められた。薬物動態は非日本人で行われた試験の動態と同様だった。

 抗腫瘍効果は病勢安定(SD)がコホート1の1人、コホート2の2人に認められた。