進行肝細胞癌(HCC)に対するソラフェニブのより有効な投与に利用できる可能性のある治療戦略を、武蔵野赤十字病院の土谷薫氏らが明らかにした。ソラフェニブ投与4週後のmodified RECISTによる評価、8週以内のAFPの20%超減少、血漿中VEGFの上昇で決めるものだ。3月21日から23日に鹿児島市で開催されている日本消化器病学会で土谷氏が発表した。

 土谷氏は進行HCCに対する分子標的薬の効果判定因子、予後予測因子を調べ、進行HCCに対する集学的治療戦略を構築することを目的に、2009年7月から2013年2月まで武蔵野赤十字病院でソラフェニブを単独投与された127人の臨床経過を調べた。ソラフェニブの投与前、投与4週毎にAFP、PIVKA-II、血漿中VEGFを測定し、投与前、投与4週後、以降8から12週毎にmodified RECISTで画像評価した。ソラフェニブ投与開始4週後の画像所見でPD(新病変出現や門脈腫瘍栓増悪)が見られた患者では予後不良であることが分かっていたことから、投与開始4週後PDの患者20人は除外された。

 患者全体の生存期間中央値は14.9カ月、ソラフェニブ内服期間は4.8カ月で50.0%だった。1日当たり800mg開始が51人、400mg以下開始が56人だった。

 解析の結果、経過中のAFPと血漿中VEGFの増加が1.5倍以内だった12人の生存期間は、どちらかが1.5倍以内(45人)、どちらとも1.5倍超増加(20人)した患者と比べて、有意に良かった(p<0.0001)。また多変量解析から、ソラフェニブ治療開始4週以降生存に関連する有意な因子として、経過中血漿中VEGF増加が1.5倍以内が同定された。

 これらの結果を基に土谷氏らは治療戦略を提案した。治療戦略は、まずソラフェニブ投与開始から4週後の画像評価でPDとなった患者は治療法を変更するとした。PD以外だった患者はソラフェニブを継続し、8週以内のAFPの20%を超える減少がなかった患者は、経過中血漿中VEGFで評価し、1.5倍以上であれば治療法変更、1.5倍未満であればソラフェニブ継続とする。8週以内のAFPの20%を超える減少があった患者もソラフェニブ継続とする。継続投与中にmRECIST評価でPDとなった場合は、血漿中VEGFが1.5倍以上増加した患者は治療法変更、AFP、VEGF上昇のない患者はソラフェニブの増量、追加治療を行う。