日本人のHER2陽性早期乳癌患者に対するトラスツズマブ投与は、ガイドラインに従って行われており、トラスツズマブの全身効果は過去の大規模国際試験に匹敵することが明らかとなった。また、トラスツズマブ投与の開始時期は結果に影響しないことも分かった。日本人のHER2陽性早期乳癌患者を対象にしたコホート試験JBCRG-C01(観察研究)によって示されたもの。成果は3月13日から16日に開催された13th St.Gallen International Breast Cancer Conference2013で、大阪医療センターの増田慎三氏によって発表された。

 JBCRG-C01試験には、組織病理学的にHER2陽性であることが確認された浸潤性乳癌患者が登録された。適格基準は、トラスツズマブを術前療法かつ/または術後療法として投与された20歳以上の女性などとした。

 2009年7月から2011年6月までに56施設から2024人の患者が登録され、2012年9月までに1875人のデータが集められた。このうち他の臨床試験に参加した49人、不適格患者54人、観察結果が得られなかった147人を除き、1625人のデータが効果の解析に利用された。主要評価項目は無病生存期間(DFS)。副次評価項目は全生存期間(OS)と安全性だった。

 観察期間中央値は35カ月。患者背景は50歳未満が31%、50-59歳が37%、60-69歳が25%、70歳以上が7%だった。閉経前の患者が34%、TステージはT0が0%(5人)、T1が33%、T2が54%、T3が8%、T4が5%、不明が0%(4人)。N0患者が57%、N1が35%、N2が6%、N3が2%、不明が0%(3人)。腫瘍径は5mm未満が19%、5-9mmが11%、10mm以上が64%、不明が7%。転移リンパ節数は0個が61%、1-3個が24%、4個以上が13%、不明が2%。組織学的グレードは1が9%、2が31%、3が52%、不明が8%。

 エストロゲン受容体かつ/またはプロゲストロン受容体陽性が47%、両受容体とも陰性が52%、不明が1%。エストロゲン受容体陽性患者のうち752人(90.6%)がホルモン療法を受けた。術前補助療法を受けた患者は562人、術後補助療法のみを受けた患者は1056人だった。

 3年DFS率は92.6%(95%信頼区間:91.1-93.9)、3年OS率は98.3%(95%信頼区間:97.3-98.9)だった。

 サブグループ解析の結果、3年DFS率は、術後補助療法については、化学療法と同時に受けた患者は94.8%、化学療法後に受けた患者は94.5%、トラスツズマブのみの患者は88.0%だった。同時と化学療法後に差がなかった理由については、N0の患者が多かったためと推測している。

 術後化学療法を受けた患者で、アントラサイクリン系の抗癌剤とタキサン系の抗癌剤を投与された患者は95.3%、アントラサイクリン系抗癌剤のみの患者は93.3%、タキサン系の抗癌剤のみの患者は94.5%だった。

 患者背景で3年DFSの予後予測因子になる可能性が示されたのは、Tステージ、Nステージ、年齢とホルモン受容体の状態だった。T0-1は95.1%、T2は93.2%、T3-4は85.7%。N0が95.0、N1が91.4%、N2-3が83.0%。60歳未満が93.9%、60-69歳が92.9%、70歳以上が79.6%。ホルモン受容体陽性が93.8%、陰性が91.7%だった。

 全身療法ではpCRが得られた患者は予後が良かった。また新たな安全性上の問題は報告されなかった。