肺腺癌のまれなドライバー変異としてHER3のV855A変異が同定されたことが明らかとなった。EGFR活性化変異を有する非小細胞肺癌に対して、エルロチニブをファーストラインで投与するフェーズ2試験で見出されたもの。成果は3月4日から6日にパリで開催されたTargeted Anticancer Therapies(TAT2013)で、ベルギーVrje Universiteit BrusselのIjeoma Adaku Umelo氏によって発表された。

 HER2とHER3のヘテロダイマーは最も強い増殖シグナルを与えると考えられている。またHER情報伝達系の異常は多くの癌で異常を引き起こす。今まで前臨床、臨床研究からEGFR、HER2、HER4のキナーゼ変異が癌と関連することが明らかとなっているが、HER3の活性化変異が明確に同定されたことはないという。

 ベルギーで実施された臨床試験で、患者から229個の検体を得て、変異を調べた。その結果、EGFR変異が24%、KRAS変異が16%、BRAF変異が2%、HER2変異が2%、HER3変異が0.4%に見つかった。

 見つかったHER3の変異はV855Aで、EGFRのExon21と比較するとL858R変異と似た位置にあった。またBRAFのL597V変異とも相同性があるという。またin vitroの実験からHER3のV855A変異とHER2野生型が組み合わされるとneuregulin1β誘導性の活性化を高めることが示され、機能性の変異である可能性が認められた。さらにin virtroの実験からHER3のV855A変異とHER2野生型による増殖はエルロチニブでは抑制されないが、afatinibでは抑制できる可能性も示された。

 また、最近のゲノム解析から2つの新たなHER3キナーゼ変異が同定されている。exon21のS846I(大腸癌)、E928G(乳癌)だ。